日本南アジア学会

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学会関連新着情報

学会関連新着情報 2018/09/24

9月30日(土) 開催 日本南アジア学会30周年記念連続シンポジウム 第6回のお知らせ

日本南アジア学会30周年記念連続シンポジウム(第6回)を金沢で開催します。
皆様のご参加をお待ちしております。

日本南アジア学会記念30周年連続シンポジウム・プログラム

場所:金沢歌劇座大集会室第1区画
日時:9月30日(日)13:00-17:00

「ヒンドゥイズム再考:時代を超えた変動とその余白」
司会:井⽥克征

13:00-13:10 趣旨説明 ⼩川道⼤
13:10-13:40 ⾼島淳「ヒンドゥー教とは?」
13:40-14:10 ⼭畑倫志「ジャイナ教聖地⽂学の流⾏とその背景」
14:10-14:40 ⼩倉智史「近代以前の「ヒンドゥー」をめぐる⾃⼰・他者認識」
14:40-14:50 ⼩休憩
14:50-15:20 澁⾕俊樹 「19世紀の「ヒンドゥイズム」から後景化されたもの―ベンガルの祭祀から」
15:20-15:50 ⾜⽴享祐「ヒンドゥーイズムとコミュナリズム~Bhīshm Sāhnī “Āj ke atīt ”に見る分断の経験~」
15:50-16:05 ⼩休憩
16:05-16:20 コメント:⾈橋健太
16:20-17:00 総合討論

[趣旨]
ヒンドゥー原理主義者が主張する、統一的で高潔なヒンドゥーの伝統は空想でしかなく、ヒンドゥイズムの概念自体が近代化の中で構築されたものであることは、すでに繰り返し指摘されてきた。長期のインドの歴史の中でみえてくるヒンドゥーの伝統は、地域によって、時代によって、場面によって異なり、一つの概念に収れんするものではなかった。イスラーム教やジャイナ教など他宗教を時に取り込み、時に排除し、時に競い、その関係が固定化されることはなかった。近世期にはムガルの平和の中でムガル宮廷や18世紀の後継国家の宮廷の間で人的交流がみられ、ヒンドゥーの伝統が広域で共有された。ヒンドゥーの伝統が近代においてより恣意的に、より鋭く共有される中でヒンドゥイズムの思想が生まれたわけであるが、これもまた一つの動きに過ぎず、インドの分離独立の現場においてさえ、凝集性をもつヒンドゥー集団やムスリム集団という意識が顕在化しない言説は存在したのである。すなわち中世、近世、近代という時代を超えてヒンドゥーの伝統はたえず変化して全インドに普遍的に共有されることはなく、それと同時に常に他宗教や多文化を受容する余白を内包していたのである。本シンポジウムでは前植民地期・植民地期といった時代区分を超えて、インドの様々な地域・時代を取り上げて、ヒンドゥーの伝統の可変性や余白を包含しうる柔軟性を通時的に示す。