日本南アジア学会

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懇話会

日本南アジア学会第72回月例懇話会

梅雨明けが待ち遠しい今日この頃、お変わりございませんでしょうか。
月例懇話会では来る7/29(土)に下記の研究会を開催いたします。
事前予約は不要です。みなさまのご参加をお待ち申し上げております。

日時:2017年7月29日(土)15:00-17:00
場所:東京外国語大学本郷サテライト8階会議室
http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
報告者:山口真央(東京外国語大学大学院 総合国際学研究科博士後期課程)
論題:アジア・太平洋戦争期の東南アジアにおける在外インド人による独立運動―第一次インド国民軍崩壊までのタイを中心に―
コメンテータ:水上香織(東京大学大学院人文社会系研究科アジア史専門分野博士課程)

報告要旨:
昨今、アジア・太平洋戦争期における日印関係史の中で日本とインドの接点としてとらえられてきた、インド国民軍に関わる日本人やインド人の回顧録が相次いで刊行されている。それはインド国民軍や戦時期のインド国外で展開されたインド独立運動が歴史研究の場のみならず、社会の関心を喚起することにつながっている。しかし、そこには先行研究が抱えてきた限界が解消されることなく、研究が今日に至っているという問題がある。
 とりわけ、先行研究では独立運動に対する日本の協力や1943 年7 月から独立運動の指揮を担ったスバーシュ・チャンドラ・ボースの運動へ及ぼした影響力が強調される反面で、それまで運動が展開されてきた、当時「南方」と呼ばれていた東南アジアやそこに住む在外インド人が運動にどのように関わったのか、という日本とインド人との二者関係では説明できない問いに十分応えることができていない。
 本発表で対象とするタイについても回顧録やアメリカ側の一次史料を基にした先行研究は存在するが、報告者はイギリス側の一次史料として旧インド省史料を利用しながら、戦時期のタイにおいて在外インド人の独立運動がどのように展開されたのかを検討する。

月例懇話会担当幹事
池亀彩、梅村絢美、澤田彰宏、足立享祐

お問い合わせは足立 adachi.kyosuke[at]gmail.com までお願い申し上げます ([at]を”@”に代えて下さい)。

 

日本南アジア学会第71回月例懇話会

今回はインド古典文献学の分野の二人の方から、それぞれプラーナ文献ヒンドゥー両性具有神の神話に探る古典的な女性観について、および、サンスクリット文学の細密画から検証するヒンドゥー教美学について、それぞれご発表いただきます。

【日時】 2017年1月28日(土)14時~18時

【会場】 東京大学東洋文化研究所(本郷キャンパス)第三会議室

【第1報告者】 澤田容子 (東洋大学東洋学研究所奨励研究員)

【論題】 黒か白か―アルダナーリーシュヴァラ神話に見るシヴァ神の妻として望まれる肌の色―
【要旨】 アルダナーリーシュヴァラは、シヴァ神の持つ様々な性格の中から創造者という性格を引き受けて確立したと考えられるシヴァ神の化身の一種である。アルダナーリーシュヴァラは「半身が女性であるシヴァ神」という名が示す通り、右半身がシヴァ神であり左半身が女性であるという男女両性具有の姿を基本としている。

 アルダナーリーシュヴァラが登場する神話は、紀元前後から書かれ始め、8~10世紀以降のプラーナ聖典群において一気に多様化する。プラーナ聖典は、古代から現代にかけ作られ民衆の間で伝達されていく中で様々に変化していったとされる膨大な文献群であり、内容は神話や哲学、地理、歴史、風俗など多岐にわたり、様々な時代や地域の情報を含んでいると考えられている。さらに、それぞれのプラーナ聖典は相互に影響し合い、同一の主題に対し異なるヴァリエーションを述べたり独自の内容を付加したりなど複雑に発展している。それゆえ、アルダナーリーシュヴァラも創造者以外の役割を付与され、色々な神話に登場するようになる。その中で、数例ではあるが、女性半身の肌の色に言及している神話が見られた。

 肌の色に関する価値観は、現代社会においても深刻な問題であり、様々な側面から探求し考察する必要があると思われる。そのため、本発表では、女性の肌の色がどのような文脈において何を意図して描写されているのか、古い時代の価値観を反映していると考えられるプラーナ聖典の中のアルダナーリーシュヴァラが登場する神話から読み解こうと考えている。

 【第2報告者】 三澤(堤)博枝 (東洋大学大学院インド哲学仏教学専攻博士課程)

【論題】 インド細密画に描かれる意匠と情趣―ウダイプル博物館所蔵『ギータ・ゴーヴィンダ』の細密画を中心に―

【要旨】 中世インドのヒンドゥー教美術は、神々の姿や神話の一場面を単に具象的に絵画やレリーフで表現するだけではなく、古代インド以来の演劇や文芸の理論書に説かれるラサ(情趣)理論やバクティ(信愛)といった宗教的な思想を背景に持つと考えられる。その中でも色彩豊かに表現された細密画は、宗教的叙情表現を色濃く反映したものといえよう。

 細密画の流派の一つメーワール派は、ラージプート画を描く流派の中でも初期に誕生した重要な流派とされる。彼らの作品の中で、ラージャスターン州立ウダイプル博物館所蔵の『ギータ・ゴーヴィンダ』の細密画は、詩の内容を精緻かつ忠実に表現しているたいへん珍しい作品である。

 本発表では、その『ギータ・ゴーヴィンダ』の細密画を精査し、サンスクリット原典の精読、および細密画上部の説明書きの解読を通じて、古代インドの宗教的な意匠と情趣がどのように反映されているのかの解明を試みる。

本会は事前の予約は必要なく、どなたでも参加いただけます。

学年末試験や入試等でお忙しい時期ではありますが、みなさまのご参加をお待ち申し上げます。

よろしくお願いいたします。

【問い合わせ先】

澤田 akisawadajp [at] gmail.com  ([at]を”@”に代えて下さい)

 

日本南アジア学会第70回月例懇話会

 今回は、Indian Institute of Technology (Hyderabad)のAssistant ProfessorであるDr Haripriya Narasimhanさんにヒンディー語のテレビドラマについての発表をしていただきます。

Narasimhanさんは、C. J. Fullerとの共著でTamil Brahmans: The Making of a Middle-Class Caste (Chicago University Press, 2014)などの著作がある人類学者で、医療人類学、メディア人類学などを専門とされています。

ヒンディー語の昼ドラの「嫁・姑」ものはインド全土で大変人気がありますが、これまで研究の対象とされてきませんでした。今回の発表では、変容するインドの家族像、ジェンダー関係のダイナミズムなど新しい視点からお話していただきます。昼ドラの一部を実際に紹介していただく予定ですので、楽しい発表になるのではないかと思います。

【日時】 2017年1月18日(水)18: 00-20: 00

【会場】 東京大学東洋文化研究所 第2会議室

【報告者】 Dr. Haripriya Narasimhan, Assistant Professor, Department of Liberal Arts, Indian Institute of Technology Hyderabad, India

【発表題目】 Stories from the small screen: An ethnographic study of the Hindi Television Soap Opera world

【要旨】

Television occupies a very important space in the mediascape of India, with nearly 167 million households owning one (TAM 2015). In particular, daily soap operas, known as serials, are watched by millions of people across the country, in various languages. Referred to disdainly as ‘saas-bahu’ (mother in law-daughter in law) stories for their focus on women and family conflicts, these serials are overlooked by social scientists, who tend to focus more on the film industry, especially Bollywood. This paper, based on fieldwork in Mumbai, among industry professionals, argues for a look at television as a site where tensions about an increasingly globalizing nation are articulated every evening, for months and years, in the public realm. It is more in the small screen of television that transformations in families, and gender dynamics are debated openly and more vibrantly, in India.

【問い合わせ先】 池亀彩 ayaikegame [at] mac. com ([at]を”@”に代えて下さい)

 

日本南アジア学会第69回月例懇話会

12月17日(土)の日本南アジア学会月例懇話会開催のお知らせです。

今回は、東京大学大学院博士課程およびインドのイラーハーバード大学博士課程に留学中の虫賀幹華さんに、ヒンドゥー教の祖先祭祀で著名なビハール州のガヤーにおける巡礼者を相手とする聖職者(パンダー)の伝承と起源をめぐるご発表をしていだだきます。

なお、事前の申し込みなどは不要で、どなたでもご参加いただけます。
年末のお忙しい時期かと存じますが、皆様多数のご参加をお待ち申し上げます。

【日時】
2016年12月17日(土曜) 14:30-17:30

【会場】
東京大学東洋文化研究所 第3会議室

【報告者】
虫賀幹華 (東京大学人文社会系研究科宗教学宗教史学博士課程/イラーハーバード大学古代史・文化・考古学学科博士課程)

【発表題目】
「ガヤーワーラの起源を探って―神話・伝承・歴史」
 
【要旨】
 ヒンドゥー教の聖地には、パンダーと呼ばれる地元の世襲聖職者集団が必ず存在する。儀礼執行のための祭司や材料、宿や食事などを巡礼者に提供するのがパンダーの主な役割である。パンダーたちは何世代も前からその聖地に居住しているが、周辺地域からの移住者である場合が多い。祖先祭祀に適した場所として有名なビハール州南部の聖地ガヤーのパンダー「ガヤーワーラ」も、祖先の一人がアウラングゼーブから封土を授かったあと、周辺の村々から移住してきたと伝えられている。一方でガヤーワーラは、自分たちの出自を「ブラフマカルピタ・ブラーフマナ」であると説明する。『ヴァーユ・プラーナ』に挿入された『ガヤーマーハートミヤ』に基づき、ガヤーの地で行われた供犠の際にブラフマー神が創造したブラーフマナたちが彼らの祖先であるという。「ブラフマー神によって指定されたブラーフマナたちを供物などで崇拝すべし。彼らの満足によって、すべての神々は祖先たちとともに満足する(『ヴァーユ・プラーナ』2.43.21, 2.43.42,2.49.92)。」このシュローカを、自身の正統性を示すために引用するガヤーワーラもいる。
 成立年代の明らかな文献のなかで「ブラフマカルピタ・ブラーフマナ」に言及する最初の文献は13世紀初頭の『スムリティチャンドリカー』である。ガヤーワーラたちのガヤーへの移住は17世紀後半であるとみられる。彼らは現在にいたるまで神話を根拠としながらガヤーのパンダーとして活動を続けてきた。本発表は、プラーナ聖典の神話、人びとが語る伝承、碑文などから得られる歴史的事実を総合して、ガヤーワーラの起源を明らかにすることを試みる。

【問い合わせ先】
担当:澤田彰宏 akisawadajp [at] gmail. com  ([at]を”@”に代えて下さい)

日本南アジア学会第68回月例懇話会

日時 (Date and time): 2016年11月25日(金), 15:00~17:00 (Nov. 25, 2016 (Fri.), 3:00-5:00PM)

会場/Venue: 東京大学東洋文化研究所 第一会議室(3階) (Conference Room 1 (3rd Floor), The Institute for Advanced Studies on Asia, University of Tokyo)

11月は東文研セミナーと共催で、 11月25日(金)にエディンバラ大学のJacob Copeman氏をお呼びして下記のとおり研究会を開催いたします。Copeman氏は南アジアの人類学者で最も注目されている新進気鋭の研究者の一人です。英語での発表になりますが、皆様にふるってご参加いただければと思います。

 http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/news/news.php?id=WedNov21258552016

◆講演者/Speaker:
Dr Jacob Copeman (Senior Lecturer, Social Anthropology, University of Edinburgh, UK/ Visiting Associate Professor, National Museum of Ethnology, Osaka, Japan)
◆使用言語/Language: English/英語
◆発表タイトル/Title:
Anti-sacrifice: Blood Donation and the ‘Philanthropic Share’
◆発表概要/Abstract:
Drawing on ethnographic research in Delhi and Kolkata on educational campaigns concerning blood donation and transfusion, this paper explores how voluntary blood donor organizations seek to educate schoolchildren and others about the quantities of blood that can be safely donated. This requires a wholesale re-proportioning of existing understandings of the human body’s hematological productive capacities. The key point they seek to convey is that the body produces more blood than it needs, and that this portion of excess blood can thus be given without the body losing anything. This insight is at odds with conventional understandings of blood donation in the region as involving non-recuperable loss, an understanding that informs perceptions of blood donation as a sacrificial gesture. Employing Bataille’s notion of ‘excess’ energy in The Accursed Share (1988), I seek to show how for such campaigners the body comes to be perceived as made for giving — the body contains a philanthropic share of blood.

主催/Organiser:
日本学術振興会科学研究費基盤研究(B)「現代インドにおけるポスト開発:媒介と協同性のポリティクス」
共催/Co-organiser:
東京大学東洋文化研究所 / Institute for Advanced Studies on Asia(IASA), the University of Tokyo
日本南アジア学会月例懇話会 / Japanese Association for South Asian Studies
問い合わせ/Contact:ayaikegame[at]ioc.tokyo-u.ac.jp
担当:池亀

次回12月の月例懇話会は12月17日(土)で、虫賀幹華さんにご発表いただく予定です。

 

日本南アジア学会第67回月例懇話会

日時 : 2016年1月25日(月) 17:30〜20:00
会場 : 拓殖大学文京キャンパス D202教室 (東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅下車徒歩3分、http://www.takushoku-u.ac.jp/access.html )

報告者:
拓 徹(名古屋大学大学院法学研究科非常勤講師)

コメンテーター:
伊豆山 真理(防衛省防衛研究所)

タイトル:
カシミーリー・パンディットの一世紀(19世紀末から1990年まで)

要旨:カシミーリー・パンディット(KP)とは、かつてカシミール渓谷の人口の3~4%を占めていた、カシミールのヒンドゥー教徒のことである。歴史的にKPはペルシア語に堪能な官僚集団の性格を持っており、その一部は18~19世紀に北インドへ移住し各地の宮廷に出仕した。こうした北インド移住組KPの子孫には、有名なネルー父子がいる。20世紀初頭には、北インド移住組KPが特権的マイノリティーとしてヒンドゥー・ムスリム融和に力を発揮する一方、カシミール残留組KPはカシミールにおいてムスリムがマジョリティーとして政治的に台頭する中、極小ヒンドゥー・マイノリティーとして難しい立場に置かれた。本発表では、このように異なる立場にあった移住組KPと残留組KPが1980年代に歩み寄り、ともに右傾化(親BJP化)するまでの約一世紀の政治的軌跡を、同時期のインド政治の変容とともに概観したい。

※今回の発表は、拓さんが州立ジャンムー大学社会学部で2010年に受理された拓さんの博士論文の一部をまとめ直したものになるそうです。

南アジア学会月例懇話会幹事
小川道大/澤田彰宏/梅村絢美

お問い合わせ先 :澤田彰宏 akisawadajp [at] gmail.com ([at] を@に変更ください)

 

日本南アジア学会第66回月例懇話会

日時:2015年12月22日(火)18:00~20:00

場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館1階114教室
アクセスマップ: http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

報告者:
澁谷 俊樹(東洋大学東洋学研究所客員研究員)

タイトル:
「「バーナースラの物語」の儀礼的表現―神話と儀礼を結んだのは誰か?」

要旨:
 ガジョン祭祀は、農耕や漁撈に携わる指定カーストやその他後進諸階級を担い手とするベンガルの代表的な村落祭祀であり、出血を伴う自傷儀礼や社会的上位層への風刺劇を伴う。19世紀以降、このことが入植者や現地エリートから「野蛮な慣習」として非難され、強い法的規制を受けた。こうして近代的「ヒンドゥー教」概念から落第しかけた経緯への「反動」もあり、人類学的研究では概ね、「非アーリヤ起源の低カースト本来の民俗祭祀」として捉え直されてきた。また近年の研究でも、「自傷儀礼に根拠を与える正統的なヒンドゥー・テクストは存在しない(あるいは)後付けに過ぎない」という、ガジョンに対する禁止運動期から存在した見解が、現地の高カーストにも研究者の間でも広く踏襲され続けている。
  「非アーリヤ」や「民俗」は、「ヒンドゥー教」の輪郭部をなす多様な社会集団のアイデンティティやエージェンシーに関連する概念として、やや肯定的な含意で、しばしば無批判に用いられる。しかし本報告は、「非アーリヤ的」で「民俗的」な文化の要素は、その文化の担い手によってではなく、むしろ担い手の外部にいる主体によって、「我々」とは異なる「内なる他者」を差異化する企図のもとに保持され、捏造されうることを論じる。
 報告で検討するのは、①19世紀以降のカルカッタのガジョンをめぐる史料、②カーリーガート寺院の供犠執行者バグディ(指定カースト)が行うガジョン祭祀をめぐる現地調査の資料、③『マハーバーラタ』の補遺harivamsaにも収録された悪魔バーナースラの物語である

南アジア学会月例懇話会幹事
小川道大/澤田彰宏/梅村絢美

お問い合わせ先:小川 道大 michi_19th_century [at] hotmail.com
またはmichi_19th_century [at] yahoo.co.jp
([at]を@に変えて下さい)

 

日本南アジア学会第65回月例懇話会

日時:2015年7月22日(水)18:00~20:00

場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館2階217教室

アクセスマップ:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

報告者:
相川 愛美(PhD Course in Department of History, Faculty of Social Sciences, University of Delhi)

タイトル:「現代インドにおける女神(サティー)崇拝と共同体の動態
 -シェーカーワーティー地域におけるサティー寺院を中心にー」

要旨:
  報告者はインド・ラージャスターン州シェーカーワーティー地域に点在するサティー寺院に焦点をあて、その運営に携わるコミュニティーと信者たちの信仰意義をその地域の特徴をふまえながら多角的に考察することで、現代における「サティー」の解釈を試みる。

  本発表では、この地域に点在するおおよそのサティー寺院(65箇所)での実地調査によって得た情報、インタビュー内容やその寺院が所持する資料から、現代のサティー崇拝の傾向やその特徴について一考察を行う。また、それぞれの寺院縁起譚の内容は、地域性やそれぞれの寺院をサポートする集団の特徴などが組み込まれ非常にユニークで多様性をもつ。報告者はこれらの縁起譚にも触れながら、現代に生きるサティー崇拝とは何かを読み解こうとする。

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以上よろしくお願い申し上げます。

南アジア学会月例懇話会幹事
小川道大/澤田彰宏/梅村絢美

お問い合わせ先:小川 道大 michi_19th_century [at] hotmail.com
([at]を@に変えて下さい)

日本南アジア学会第64回月例懇話会

日時:2015年7月14日(火)18:00~20:00
場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館2階216教室
アクセスマップ:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

報告者:
岡山 誠子(東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻修士課程)

タイトル:「1980年代後半のインド・グジャラート州における国民会議派とムスリム・コミュニティ ―政治参加手段の喪失をめぐって―」

要旨:
 1980年代はスポデクが「ガーンディー主義が終わった」と述べたように、グジャラート州政治の転換期であった。この時期は、被抑圧階級の地位向上に対する中・上位カーストの反発、国民会議派の弱体化、その水面下で進んでいたヒンドゥー・ナショナリズムの台頭といった側面から説明できる。特に、1985年は反留保枠暴動が反ムスリム暴動に転換した重要な時期であったことが指摘されている。
 本研究では、初めてインド人民党が勝利した1987年のアフマダーバード自治体選挙に着目し、暴力的なヒンドゥットゥヴァの台頭の下でムスリムと国民会議派との間にどのような相互作用があったのかについて調査する。具体的には、この選挙において国民会議派からインド人民党に支持政党が変化した地区と、逆に国民会議派へと変化した地区を選び、当時の政治変動を経験したムスリムや会議派議員に聞き取り調査を実施する。それにより、多数派の専制が横行しやすい民主主義制度において、少数派コミュニティが政治参加のために依存する政党がどのようにその役目を失っていくかについての示唆を得たいと考える。

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以上よろしくお願い申し上げます。

南アジア学会月例懇話会幹事
小川道大/澤田彰宏/梅村絢美
お問い合わせ先:小川 道大 michi_19th_century [at] hotmail.com
([at]を@に変えて下さい)

日本南アジア学会第63回月例懇話会

日時:2015年4月22日(水)18:00~20:00
場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館2階216教室
(教室が変更になる可能性がございます。追って連絡いたします。)
アクセスマップ:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

報告者:嘉藤 慎作(東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻)

タイトル:「17世紀インド洋西海域の国際交易港市スーラトと後背地―海上交易がもたらした影響―」
要旨:
17世紀に入り、既存の多様なアジア商人集団に加え、ヨーロッパ諸勢力が本格的にインド洋に進出し、インド洋交易は益々の活況を呈した。その中でも、綿織物をはじめとする南アジア産品は各地で需要が拡大した。インド亜大陸西岸に位置する港市スーラトは、そうした南アジア産品の積出港として、多数の商人を惹きつけた。また、この時期には商品の対価として金銀が大量に流入し、南アジアの貨幣経済は大きく発展したといわれている。それでは、こうした他地域の需要動向と港市への金銀流入に基づく貨幣経済の発展の影響は、商品生産地である後背地にいかなる形で現れたのであろうか。本報告では1630~1700年頃を対象として、スーラトの後背地の変容と海上交易の関係について、当時スーラトで活動したイギリス、オランダ両東インド会社史料とヨーロッパ人の旅行記に基づいて明らかにする。
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以上よろしくお願い申し上げます。

南アジア学会月例懇話会幹事

小川道大/澤田彰宏/梅村絢美

お問い合わせ先:小川 道大 michi_19th_century [at] hotmail.com
([at]を@に変えて下さい)

 

日本南アジア学会第62回月例懇話会

日時:2015年2月4日(水)18:00~20:00

場所:東京外国語大本郷サテライト 8階会議室(最寄駅:本郷三丁目) http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

報告者: 田畑 和輝(東海大学大学院文学研究科文明研究専攻)

タイトル: 「ジャエパール・シンとジャールカンド運動」

要旨: 本報告は、ジャールカンド運動史のなかであまり言及がなされてこず、先行研究においても統一した見解が存在 しない、運動の主要な指導者の一人であるジャエパール・シンの役割を、「先住民の運動」から「ジャールカン ド人の運動」という運動の変化との関係性から解明することを目的とする。運動の変化とジャエパール・シンの 役割との連関は、この運動を理解するうえで重要な意味を持っており、本報告は、先住民だけでなく、ジャール カンドのすべての住民を巻き込んだ運動体を形成していくその過程に着目し、運動の特徴を明らかにしていく。

******************** 以上よろしくお願い申し上げます。

南アジア学会月例懇話会幹事

小西公大/澤田彰宏/梅村絢美

※お問い合わせは小西(kkodai@tufs.ac.jp)まで。

 

日本南アジア学会第61回月例懇話会

南・西アジア文化照光会議/南アジア学会月例懇話会 共催

第一回 インド・パキスタンが生んだ大民謡の秘密 ――魅惑のライム・ニンブーダーと赤いハヤブサのカランダル

南・西アジア文化照光会議は、南アジア~西アジア地域で育まれてきた有形無形の豊かな文化を、いっそう深く学びあい、よりいっそう自由に語り合うべく企画された、研究会型公開イベントです。議題に関心のある有志諸氏の学内外からの参加を歓迎します。 (※どなたでもご参加いただけます。参加費はいただきません。事前登録は不要です。)

記念すべき第一会は、南アジアの民謡から始めましょう。 作詞作曲者知らずの小さな民謡が、国境や言語圏を超えてスタンダード歌謡になってゆく道程を追いながら、現地調査に基づいた資料や音楽・映像とともに、その秘密に迫ります。

日時:2015年1月17日(土)14:00~17:00 場所:東京外国語大学 本郷サテライト 8階会議室 (http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html)

① 小西公大(東京外国語大学現代インド研究センター) 「魅惑のライム/ニンブーダーと愛のかたち」

 大ヒットしたボリウッド映画「Hum Dil De Chuke Sanam(邦題『ミモラ』)」の挿入歌として一躍有名となり、スタンダードなダンス・ナンバーとなった「ニンブーダー・ニンブーダー(Nimbooda Nimbooda)」。この歌は本来、タール沙漠(ラージャスターン州西部)のムスリム楽士集団マーンガニヤールの無名の女性たちが結婚式の際に歌う儀礼歌だった。この歌がどのような変遷を経て国民的な歌謡へと変転していったのか。また未熟なライム(ニンブーダー)に込められた愛の意味とは?歌詞とともに演奏スタイルの変遷に関しても触れながら、一つの歌の辿った軌跡を詳細に追うことで、沙漠社会に押し寄せた大きな変動のあり方を読み解いていく。

② 村山和之 (中央大学・和光大学兼任講師) 「赤いハヤブサ/マスト・カランダルの飛翔」

 インドでは「ダマーダム・マスト・カランダル」「ジューレー・ラール」、パキスタンでは「ラール・メーリー・パト」の名で知られる民謡は、インダス河下流域に祀られるスーフィー聖者ウスマーン・マルワンディーを讃える歌である。彼は実名よりもラール・シャーバーズ・カランダル「(スィンドの)赤いハヤブサ」として、この民謡にのって南アジア全土に知れ渡っている。宗教歌謡、ダンス音楽など様々な形態をとりながら、民衆に好まれ続けてきたこの民謡の、歌詞内容、聖者譚、パフォーマンススタイルを辿り、その真髄を楽しんでみたい。

以上、万障お繰り合わせのうえご参加ください。

南・西アジア文化照光会議議長 村山和之 南アジア月例懇話会幹事 小西公大 澤田彰浩 梅村絢美

(お問い合わせは小西(kkodai@tufs.ac.jp)もしくは村山(danamm426@gmail.com)まで)

 

日本南アジア学会第60回月例懇話会のご案内

今回の懇話会では、早稲田大学の平山雄大さんに、ブータンの近代学校教育に関する研究報告をしていただきま す。万障お繰り合わせの上奮ってご参加いただければ幸いです。 (※どなたでもご参加いただけます。事前のご連絡も不要です。)

第60回月例懇話会のご案内

日時:2014年11月5日(水)18:00~20:00

場所:東京外大本郷サテライト8F(最寄駅:本郷三丁目)

http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

報告者: 平山 雄大(早稲田大学教育総合研究所)

タイトル: 「第1次5ヵ年計画開始以前のブータンにおける近代学校の類型とその対照的特徴」

要旨:  本報告は、ブータンの近代学校教育史の中でも特に言及がなされてこず、先行研究においても統一された見解が存在しない第1次5ヵ年計画(1961年~)開始以前の同国の学校教育の実態を、当時存在していた学校を「ネパール人移住者の学校」と「ブータン人の学校」に類型化しその対照的特徴を示すことによって解明することを目的とする。ネパール人移住者の学校とブータン人の学校は設立形態や言語教育に関して対照的な特徴を有しており、その事実が上記の5ヵ年計画開始以前のブータンの学校教育全体の特徴を形作っていた。本報告ではその詳細を紹介しながら、近代学校教育の普及の過程を通じて見ることのできる、ブータンにおける教育政策の実際を明らかにする。
以上よろしくお願い申し上げます。
南アジア学会月例懇話会幹事 小西公大/澤田彰宏/梅村絢美 ※お問い合わせは小西( kkodai@tufs.ac.jp )まで。

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 日本南アジア学会第59回月例懇話会のご案内

今回の懇話会は、東京都江戸川区に展開する<インド世界>をフィールドとされているお二人の若手研究者による調査報告をしていただきます。ショートノーティスとなってしまいましたが、また学期末でお忙しいことと存じますが、万障お繰り合わせの上奮ってご参加いただければ幸いです。 (※どなたでもご参加いただけます。事前のご連絡も不要です。)

第59回南アジア学会月例懇話会

日時:2014年8月4日(月)18:00~20:00 場所:東京外大本郷サテライト 7F(本郷三丁目)

http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

全体タイトル: 「日本で展開するインド世界―江戸川区における在日インド人と宗教実践」

発表者1:徐 輝(大東文化大学) タイトル: 「在日インド人の就労パターンと異文化適応―江戸川区西葛西を事例として」 要旨:  本報告は、江戸川区西葛西地区に在住しているインド人を事例として、在日インド人の生活実態に関する新たな傾向についてフィルードワークに基づき報告したい。在日インド人の生活実態に関する簡易調査から、二つの新たな傾向が観察できた。第一は労働パターンの変化である。これまで主流となっていた印僑の来日目的は、単身で来日し、レストラン経営や料理人の仕事で集中的に経済的な蓄えをし、できるだけ早い段階でインドの家族の元へ帰国するというパターンであった。しかし、最近日本で見かける印僑IT技術者達は逆に、日本にある会社での長期間の雇用を望み、できるだけ早い段階でインドに住む家族を日本へ呼び寄せて、共にできる限り長く日本での在住を望む傾向にあり、日本滞在中に彼らのアイディンティティも大きく変化している。第二は同伴家族とくに主婦層の社会経済活動の変化である。以前、在住印僑IT技術者の主婦の多くは家事と育児に専念していた。しかし、最近は、高学歴である印僑の女性達は外に出て仕事をするという傾向が見られる。こうした二つの変化のあり方を詳細に描きながら、日本に生きるインドの方々の生活実践の変化を明らかにする。

発表者2:浅井彩(首都大学東京) タイトル: 「〈宗教〉を介したゆるやかな〈集まり〉−ISKCON New Gaya Japanを対象として」 要旨:  都営新宿線船堀駅から徒歩1分ほどの場所に、クリシュナ意識国際協会の日本支部「ISKCON New Gaya Japan」、別名ラーダー・クリシュナ寺院はある。1960年代、ハレー・クリシュナ運動は、あるインド人の僧侶によって、アメリカで対抗文化の運動展開のなか若者を中心に巻き起こされ、それは瞬く間に他の西洋の国々にも広がった。日本においては1970年代初めに若者を中心に広がり始め、その後様々な社会的影響により活動自体に濃淡は見られたものの、2011年に江戸川インド人会や在日インド人の協力のもとラーダー・クリシュナ寺院の開設に至った。  本発表は、このラーダー・クリシュナ寺院に訪れる人々の「関係」に焦点を当て、その共同性と親密性について考察することを目的とする。クリシュナ意識国際協会の活動に関わることは、それ自体、ある種特殊なものとしてしばしば語られてきた。しかし現在寺院に来る人々は、皆が自らを「信者」として認識しているわけではなく、人々にとって「クリシュナ神」は必ずしも寺院を訪れることの意味や真正性と直結してもいない。彼らにとって、寺院で踊り祈ることの意味や真正性は「信仰心」よりも、そこに「行く」という行為のなかにみられるのである。本発表では彼らが寺院に訪れることを宗教実践として捉えるのではなく、ある種の「集まり」として捉え、ひいては彼らにとっての「宗教」とは何か、考察を深める。

南アジア学会月例懇話会幹事 小西公大/澤田彰宏/梅村絢美 ※お問い合わせは小西(kkodai@tufs.ac.jp)まで。

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日本南アジア学会第58回月例懇話会のご案内

今回の懇話会は、一橋大学の間永次郎氏を招き、晩年のM.K.ガーンディーの思想に迫るご発表をしていただきます。 尚、日本語要旨とともに英文要旨をいただきましたので、掲載させていただきます。ご発表は日本語での発表となります。 みなさま万障お繰り合わせの上ご参加ください。 (ご興味のある方はどなたでもご参加いただけます)

第58回月例懇話会

日時:2014年7月26(土)14:00~17:00 場所:東京外大本郷サテライト 4Fセミナールーム(本郷三丁目)

http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

タイトル: 「晩年のガーンディーにおける政治的世俗主義と宗教的禁欲主義との関係について」

発表者: 間永次郎(一橋大学)

日本語要旨:  2000年以降、晩年のガーンディー思想について、以下の二つの主要な研究動向が見られるようになった。(1)第一が、1940年代に提唱されるようになるガーンディーの政治的「世俗主義(secularism)」に関する公的発言に着目した研究である。(2)第二が、同時期に行われるようになった「ブラフマチャルヤの実験(側近女性との裸の同衾)」という私的宗教実践をめぐる一連の議論である。  これらの「公」と「私」のガーンディー思想にそれぞれ着目した(1)と(2)の研究動向は、互いを言及し合うには至っておらず、一つの人物像を描写したものとして、一見矛盾するような主張を含んでいる。(1)においては、晩年のガーンディーの世俗主義(宗教と政治の分離、宗教の私事化etc. )が、それまでのガーンディーの宗教政治(religious politics; 宗教と政治の一致)の主張と「対立する」ものであったとされる。一方(2)では、ブラフマチャルヤの実験において、最もラディカルな方法による宗教の(政治的)普遍化の試みが行われたことが指摘されている。  本発表では、ガーンディー晩年の政治的世俗主義の背後で語られていた私的発言を吟味することで、(1)と(2)を「論理的」に接合するガーンディーの宗教倫理の構造を探究する。これにより、従来の西洋的政教分離思想(laïcité)ともインドの宗教的中立性原理(dharmaniṣpakṣa)とも異なるガーンディーの世俗主義思想の独自性と、そこに見出される限界を共に明らかにする。

英文要旨: Gandhi’s ‘Secularism’ in His Last Years: The Unique Metaphysics of the Self, Ethics, and Religion

This paper will examine the relationship between Gandhi’s two major intellectual developments in his last years (1940s): Gandhi’s insistence on political secularism and his controversial religious experiment with brahmacarya (sexual celibacy). In exploring Gandhi’s private religious experiments behind his public political statements, I will argue that, contrary to the prevalent interpretation, Gandhi’s secularism was, even more enthusiastically than his earlier years, inspired by his unique religious metaphysics of ātma (self) and ethics. The former entailed some transcendent nature, which Gandhi often referred to as the ‘voice of ātma’, irreducible to conventional advaitin philosophy of ātman/brahman identification; the experience of ‘hearing’ the voice through his practice of brahmacarya was said to be exactly like somebody else was saying something to him. He contended that only this voice of ātma verified the legitimacy of the (fundamental) ethics behind his secularism. By showing this, I will conclude that Gandhi’s secularism, in which he insisted on the individualization of religion, was not itself the end (sādhya). Instead, Gandhi firmly believed that religion being entirely individual (ātmik) was the only means/method (sādhan) to universalise his ideal of independent/absolute religion (svatantra dharma).

南アジア学会月例懇話会幹事 小西公大/澤田彰宏/梅村絢美 ※お問い合わせは小西(kkodai@tufs.ac.jp)まで。

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日本南アジア学会第57回月例懇話会のご案内

 今回の懇話会は、舟橋健太氏(NIHU/龍谷大学)の出版された著書の書評会となります。万障お繰り合わせの上ご参加ください。

第57回月例懇話会

日時:2014年6月22(日)13:00~16:00 場所:東京外大本郷サテライト 3Fセミナールーム(本郷三丁目)

http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

書評会: 舟橋健太(著)『現代インドを生きる改宗仏教徒――新たなアイデンティティを求める「不可触民」』

書評者:鈴木真弥(学振PD、中央大学兼任講師)

************************** 以上よろしくお願い申し上げます。

南アジア学会月例懇話会幹事 小西公大/澤田彰宏/梅村絢美

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日本南アジア学会第56回月例懇話会のご案内

下記の通り、日本南アジア学会第56回月例懇話会のご案内をお送りします。
今年度最後の懇話会では、3月に学部を卒業される予定のお二人に卒業論文として提出された御研究を報告していただきます。万障お繰り合わせの上ご参加ください。

第56回南アジア学会月例懇話会

日時:2014年2月25(火)15:00~17:00
場所:東京外大本郷サテライト 7F会議室(本郷三丁目)
http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

発表者①: 竹崎隆太郎(東京大学文学部)

タイトル: virājとはいかなる韻律か?
要旨:r̥gvedaに出て来る韻律の一つとされるvirājは定義が曖昧であり、存在がきわめて怪しい謎の韻律である。この発表では、Oldenberg等に 基づく韻律の復元を踏まえた上で、virājはそもそも存在したのか、存在したとすればそれは如何にあったのかを、r̥gvedaとその anukramaṇī, prātiśākhyaまたyajurveda等に残る証言から探る。

発表者②: 藤音晃明(東京大学教養学部)

タイトル: 近代インドの仏教―「ルネサンス」の構造
要旨 :本発表は、19世紀後半から20世紀前半をインド仏教の「ルネサンス」と位置付け、近代インドにおける仏教のあり方について考察を加えるものである。仏教 が近代のインドで「再発見」され、ついにはアンベードカルを指導者とする元不可触民たちの集団改宗に帰結したことはよく知られているが、アンベードカル以 前の時期において、仏教がいかなる形で解釈・受容されたのかという問いについては、従来あまり注意が払われてこなかった。本発表では、西洋のアカデミズム とアジアの仏教徒からの働きかけという外的要因と、同時代のインドの社会・宗教状況という国内的要因の双方を考慮することで、この問いに対する一つの理解 を提示する。そして、当時の時代状況の中で形成された仏教のあり方が、今日のアンベードカル仏教においていかに継承されているのか、あるいは変容したのか という点についても考察を試みたい。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

南アジア学会月例懇話会幹事
小西公大/澤田彰宏/梅村絢美

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日本南アジア学会第55回月例懇話会のご案内

下記の通り、日本南アジア学会第55回月例懇話会のご案内をお送り致します。
今回はスリランカの伝統医療に関するご報告をしていただきます。
ショートノーティスとなりましたが、みなさま万障お繰り合わせの上ご参加ください。

第55回南アジア学会月例懇話会

日時:2014年2月12日(水)18:00~20:00
場所:東京外国語大学本郷サテライト 7F会議室(本郷三丁目)
http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

発表者:梅村絢美(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
タイトル:スリランカ伝承医療における「語らないこと」と「かけがえのなさ」をめぐる人類学的探究

要旨:本発表は、スリランカ西部州・北西部州のシンハラ人の伝承医療医のもとでおこなった調査(2008年~2013年)で得られた事例について報告し、診療や知識の継承において、医師や患者が「語らないこと」の背景について考察することを目的としている。
 スリランカ伝承医療においては、診察や治療の最中に医師および患者が身体や疾患に関する言及を避けたり、医師が処方薬をつくるときに呪文を朗誦する以外 は言葉を発することを避けたりする。また、知識継承に際しては、薬草の名称を言語化するのではなく、ジェスチャや暗号化された詩歌が媒介とされる。調査を 進める過程で、上記の「語らないこと」の背景には、言語表象と治療効果のあいだに特有の因果関係があることが明らかとなった。さらに、医師の治療能力「ア トゥ・グナヤ」が代替不可能(<この医師>によってしか成立しえない)なものと位置づけられており、それが医師個人の所有物ではなく、天体の運行や超自然 的な存在による治療効果の媒介能力とされていること、診療が貨幣を媒介に取引される商品としてではなく、一種の贈与としておこなわれていること、医療器具 を用いず医師の身体の一部である「手」をもちいておこなわれる診察において、診断結果が数値化されたり言語表象されないことなどが明らかとなった。
 こうした事例を検証していくことで、発表者は、伝承医療の診療そのものや医師の患者の身体に対する認識が、代替不可能な「個」の単独性、すなわち「かけ がえのなさ」によって支えられているのではないか、という仮説を導き出すにいたった。そしてこの「かけがえのなさ」と「語らないこと」とが密接に関連して いることについて、柄谷行人による単独性と特殊性についての議論を手がかりに考察していく。

コメンテーター:鈴木 正崇(慶應義塾大学)

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

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小西公大/澤田彰宏/梅村絢美/水上香織
※お問い合わせは小西( kkodai@tufs.ac.jp )まで。

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日本南アジア学会第54回月例懇話会のご案内

今回は、ネパールの山岳民族グルン(Gurung)の社会に関するご報告をしていただきます。ショートノーティスとなりましたが、みなさま万障お繰り合わせの上ご参加ください。

日時:2014年1月23日(木)18:00~20:00
場所:東京外大本郷サテライト 7F会議室(本郷三丁目)
http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

発表者:吉元奈々子(首都大学東京人文科学研究科)
題目:「クラン集合をめぐるイディオム―ネパール、グルン社会における社会的差異に関する一考察」

要旨:中央ネパールの中間山地に居住するグルンに関する先行研究ではしばしば、グルン社会におけるクランは、特定の4つのクランからなるチャールジャートとそれ以外のクランから成るソーラジャートという二つのクランの集合に分かれ、その間には地位の優劣があると描かれてきた。一方で、1990年代以降に加速した民族運動において、一部のグルンは「グルン社会にクランの優劣は存在しない」と主張している。本発表は、この民族運動における主張と先行研究の記述との食い違いに着目し、先行研究をもとにチャールジャートとソーラジャートと呼ばれるクランの集合について再考することを目的とした文献研究である。具体的には、チャールジャートとソーラジャートに関する先行研究の記述を、「理念」、「規範」、「実践」という観点から整理した上で、1970年代にあるグルンの村において起こったチャールジャートとソーラジャートの間の争いを事例として用い、その争いの中で双方の社会的差異がいかに作用したのかを分析していく。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

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小西公大・澤田彰宏・梅村絢美・水上香織
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日本南アジア学会第53回月例懇話会のご案内

第53回南アジア学会月例懇話会

日時:2013年10月12(土)17:00~19:00
場所:東京外大本郷サテライト 7F会議室(本郷三丁目)
http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/

発表者:丹羽 充(一橋大学大学院社会学研究科)
題目:「猜疑の共同体:ネパールのプロテスタンティズムに見られた統括団体の乱立」

要旨:1950年代にネパールに流入したプロテスタンティズムは、1990年の民主化運動を経て、着実に信者数を伸ばしてきた。しかしその一方で、プロテスタントたちの間では、相互猜疑、仲違い、意見の対立、さらには教会分裂といった紐帯と調和の乱れが発生するようにもなった。こうした状況の下、1990年代中葉には、ネパールのプロテスタンティズムに連帯と調和を取り戻そうと、「統括団体umbrella organization」を組織する動きが見られるようになる。だが、そうした試みは、状況を改善し得ないばかりか、むしろ新たな混乱を生み出してきた。すなわち、複数の統括団体が創設された結果、それぞれの団体がネパールのプロテスタンティズムの代表であるかのように振る舞うようになってしまった、つまり主導権を巡る争いを繰り広げるようになってしまったのである。
 本発表では、ネパールのプロテスタンティズムにおける統括団体の乱立について報告する。具体的には、複数の統括団体の乱立と争いの様態に、それから、そうした統括団体の乱立に対する一般の聖職者や信者の眼差しに焦点を当てる。人々の間での不信や対立に着目することは今日のネパール一般を考える際に極めて重要であり、本報告はプロテスタンティズムを事例としてその一翼を担いたい。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

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日本南アジア学会第52回月例懇話会のご案内

第52回南アジア学会月例懇話会

今回は、在日スリランカ人社会に関するご報告をしていただきます。ショートノーティスとなりましたが、みなさま万障お繰り合わせの上ご参加ください。

日時:2013年7月13日(土)14:00~17:00
場所:東京大学(本郷)/法文一号館1階116教室
(http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html)

発表者:デシャニ・ニサンサラ(首都大学東京人文科学研究科博士後期課程)
題目:「在日スリランカ人のライフスタイルと国境を越える民族的風景:在日スリランカ人の人間関係や社会空間についての調査に基づいて」

要旨: 本研究での主たる対象であるスリランカ人たちは、様々な情報手段を通し、豊かな国の日本の「物質文化」について知り、いいイメージ、高い夢を持ち、国境を越え来日していると思われる。しかし、彼らは実際に来日し、日本で暮らしているうえで、見てきた夢を必ずしも実現できず、夢とはまた違う現実を見、様々な問題に直面している。夢を諦めた人たちは犯罪などを起こし、自分の人生まで犠牲にしている。ある人は借金の山に埋もれたまま帰国して、また一から人生を始めようとしている。その他にも、何年たっても夢を追いかけ続けているスリランカ人もいるが、日本の中で生活をしている貧しい発展途上国の色黒のスリランカ人のライフスタイルは簡単に豊かになるとは思えない。しかし、苦労をしながらも、国境を越えてきた彼らは様々なネットワークを作り、彼らのコミュニティの中では楽しく過ごしつつ、彼らなりに後輩を育てながらも日本の社会や文化に適応しようとしている。本発表では、こうした在日スリランカ人たちの日本における生活の実践や人間関係を明らかにすることを目的とする。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

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日本南アジア学会第51回月例懇話会のご案内

今回は、カルカッタから帰国されたばかりの澁谷俊樹さんに、シヴァ派の祭祀チョロック・プジャ(Cadak Puja)に関するご報告をしていただきます。ショートノーティスとなりましたが、みなさま万障お繰り合わせの上ご参加ください。

日時:2013年6月15(土)14:00~17:00
場所:東京大学(本郷)/東洋文化研究所3F第二会議室
(http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/access/index.html)

発表者:澁谷俊樹(慶應大学)
発表題目:「ベンガル地方のシヴァ派の祭祀:灌頂儀礼と一時的カースト変容、自己犠牲、再誕生」

要旨:シヴァ派の祭祀として知られるチョロック・プジャ(Cadak Puja)についてカルカッタの事例から映像を交えて報告し、最終日の儀礼において、「供犠としての出産」が表現されていることを考察する。この祭祀は、西ベンガル州南部のラル(Rarh)地方と呼ばれる赤土を多く含む地域において、村落を中心に分布する春期の行事として知られる。祭祀では、灌頂儀礼(Abhisheka)あるいは入門儀礼(Diksha)を受け、ゴートラを一時的に変容させ苦行者(Sannyasi)となった人々が、様々な自傷行為に着手し、一般にシヴァと同定される男神と、大地と同定される女神とを統合に導く。苦行者の主なゴートラはシュードラ以下といわれ、彼らは灌頂儀礼を経て等しくシヴァのゴートラとなり、祭祀が終わると再び元のゴートラに戻る儀礼を受ける。報告するカルカッタの祭祀の日程は以下の構成である。

  1. 灌頂儀礼、太陽神への儀礼
  2. 棘の生えた木へのジャンプ
  3. バナナの幹に固定した刃物へのジャンプ
  4. 馬車、炎のジャンプ、池での神格の招待
  5. 神格の結婚式、チョロック・プジャ、灌頂儀礼

吉祥詩Dharma Mangalなどを背景とするといわれることから、19世紀末よりこの祭祀と仏教のDharmaraja、及び「タントリズム」のほか、土着的な部族の儀礼との関連を指摘する研究もあったが、前者に関して近年では批判も多い。背景となる物語と儀礼との差異が大きく、その意味を物語に還元できないとする見方もある一方で、最も近年の研究では実際には強調されるほどの差異はないとするものもある。
最終日のチョロック・プジャは、植民地時代より「鉤吊(Hook-Swinging)として知られ、「文明社会には許容し難い非ヒンドゥーの慣習」として法的な禁止の対象となった。報告する事例では鉤では吊らないが、チョロック・プジャを閉鎖して前日までの儀礼を行なう地域は比較的残るとされる。こうして「鉤吊」ばかりが着目されたことから、祭祀の重点がチョロック・プジャの前日の儀礼に移動したと指摘するNicholasは、自身も、象徴論的な重要性が前日の儀礼にあると結論している。本報告では改めて祭祀最終日のチョロック・プジャに着目する。
近年の研究においても、儀礼との関連が指摘されてきた儀軌や物語について、信徒や苦行者たちがその意味を解さずに一種の慣習として祭祀を行い、マントラを唱え儀礼を続けているという分析が行なわれている。本報告では、儀軌や物語ではなく、神格からの夢告やイギリス人の介入などに因む都市ならではの縁起の語りに改めて着目することで、報告する宗教的実践について異なる角度から考察する。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執
筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

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第51回南アジア学会月例懇話会の御報告

ご参加いただきました臼田先生や小西先生、古井先生を中心に、とても充実した議論を展開することができました。ここに御礼申し上げます。

発表者:澁谷俊樹(慶應大学大学院博士課程)
題目:「カルカッタの春の祭祀―チョロック・プジャの事例」

第51回南アジア学会月例懇話会は、2013年6月15日(土)に東京大学東洋文化研究所にて、発表者を含め8名の参加者によって開催された。

本報告で取り上げられたチョロック・プジャとは、昔は村であったものの、都市化に伴い現在のカルカッタの中心部に含まれた地域の祭祀である。
祭祀の構成は、灌頂儀礼(Abhisheka)を受け、一時的にゴートラを変容させ苦行者(Sannyasi)となった人々が、棘の生えた木(Banci Kanta)や刃物(Banti)の上にジャンプするなど自傷行為を捧げ、シヴァと女神とを結婚させ統合に導くというものである。

その中で発表者は、様々な儀礼について、人々が儀軌とは異なる複数の縁起を語ることに注目し、イギリス人の介入や地域の開発など周辺社会の変化に応じて人々がシヴァ神の夢を見、それによって儀礼や縁起の一部を正統に作り変え、儀軌によって与えられていた意味とは異なる彼ら独自の祭祀を構築しようとしていることが明らかにされた。

会場からも様々な意見や批判が出された。

  1. 祭祀の位置づけについて。発表者はこれまで研究してきた秋の女神祭祀に対し、春の祭祀として報告したが、春の祭祀といえばホーリーであるため、「雨期明けの女神祭祀」と「乾季入りの祭祀」としてはどうか。また、報告では「下位カーストの儀礼」としての側面が隠されて見えたが、それを隠してしまうことで見えなくなる事柄があるのではないかという批判がなされた。下位カーストの儀礼ということに関連して映像を見た数人から挙がった指摘は、苦行者が様々な寺院の周囲を回る時は時計回りなのに対し、太陽神、棘の生えた木、刃物、チョロックの木の周りを回る時は反時計回りであったことであった。
  2. 社会組織について。祭祀は昔からやっているそうだが、村であった頃から行われていたのか、実は新しく移住してきた人々が新たに組織したのかという地域の歴史に関する指摘があった。また、Manshikがあれば誰でも苦行者に成れるというが本当なのか。どのようにして苦行者になるのか、彼らがどんな人なのか、普段どんな職業に従事しているか、なぜ苦行者になろうとしたか。苦行者の規則や儀礼の縁起について、いつ、どこで、誰から聞くのか。社会生活にまで対象を広げるとまた異なるものが見えてくるのではないかという批判があった。
  3. 調査の方針について。チョロック・プジャに関連する吉祥詩などの資料についても調査を広げる必要はある一方で、人類学としてはもっと報告にあった夢告や地域独自の縁起を前面に出して強調して良いのではないかという意見がきかれた。
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日本南アジア学会第50回月例懇話会のご案内

今回は、今年度学位(学士および修士号)請求論文を提出されたお二人に、その成果を発表してもらう成果報告会です。万障お繰り合わせの上ご参加ください。

第50回南アジア学会月例懇話会

日時:2013年2月19(火)14:00~17:00
場所:東京外国語大学 本郷サテライト7F会議室
(http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html)

発表者1 田中太一(東京外国語大学)

「ウルドゥー語の受動文について」

<要旨>
一般に、ウルドゥー語では受動文が用いられることは少ないと言われている。本発表では、先行研究を踏まえて受動文を、中立受動(neutral passive)・能力受動(ability passive)・必要性を表わす解釈(necessity reading)に分類し、特に前二者について項の意味役割や動詞の他動性階層の観点から分析を行なう。また、意味の観点から、日本語のラレル系述語文との対照を行ない研究の展望を示す。

発表者2 岩田香織(東京大学大学院)

「インド民族運動家と移民社会――20世紀初頭カナダを例にして」

<要旨>
1910年代の北米太平洋岸はインド系移民を主体とする国際的な反英運動(ガダル運動)の中心となっており、従来この運動に関してはインド民族運動史の一側面として注目がなされてきた。これに対して発表者は、この運動の国際性(インドと移民先地域の二国間だけでなく、移民先のインド系移民同士でも連絡を取り合うような性格)は、インド系移民の国際的なネットワークの歴史に関して考察するための材料を提供すると考えた。
本発表では、移民史の中から同運動を捉え直すための最初の作業として、当時の在北米インド系移民社会の実像を明らかにしたうえで、移民社会と運動家の関係性について検討する。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

南アジア学会月例懇話会幹事
小西公大・和田一哉・澤田彰宏・梅村絢美
※お問い合わせは小西(bakeneko.ltd@gmail.com)まで。

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日本南アジア学会第49回月例懇話会のご案内

日本南アジア学会第49回月例懇話会のご案内をお送り致します。今回は大東文化大学の小尾淳さんをお招きし、タミル地方におけるヒンドゥー教の宗教歌謡(バジャナ)に関するご報告をしていただきます。万障お繰り合わせの上、ご参加ください。なお、今回は月曜日の夕刻開催となりますのでご注意ください。

第49回南アジア学会月例懇話会

日時:2012年12月10(月)17:30~19:30
場所:東京大学 本郷キャンパス 法文1号館 424号教室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

発表者:小尾 淳(大東文化大学)
タイトル:タミル・ナードゥ州における宗教歌謡の実践
―タンジャーヴールのバジャナ・サンプラダーヤを中心に―

要旨:本報告では、タミル・ナードゥ州におけるヒンドゥー教の宗教歌謡(バジャナ)の実践状況を筆者が撮影した映像を交えて紹介する。タミル地方では、カリユガ期(ヒンドゥー暦法による悪徳の時代)に神の名を唱えて解脱の境地に至るという教義を背景に、「バジャナ・サンプラダーヤ(讃歌の伝統)」と呼ばれる芸能が発展した。これは、17-18世紀、マラーターのタンジャーヴール統治期に、西インドで盛んに行われた、マラーター聖者(サント)が歌を交えて民衆に教えを説くというキールタン様式の影響を受けている。現在のタンジャーヴール様式は18-19世紀に確立され、体系化された一連の演目が僧院(マタ)を中心として定着した。実践者は「バーガヴァタル(信徒の意)」と呼ばれる。本報告では概説として、タミル暦マールガリ月(12月後半~1月後半)に行われるバジャナなども紹介し、地域に根差した宗教歌謡実践の社会的役割を考えてみたい。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

南アジア学会月例懇話会幹事
小西公大/和田一哉/澤田彰宏/梅村絢美
※お問い合わせは小西(bakeneko.ltd@gmail.com)まで。

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日本南アジア学会第48回月例懇話会のご案内

日本南アジア学会第48回月例懇話会のご案内をお送り致します。ショートノーティスとなり、また続けざまとなってしまい、大変申し訳ございません。
今回は慶應義塾大学大学院博士課程に在学されている渋谷俊樹さんをお招きし、カルカッタの火葬場におけるカーリー女神の祭祀と、その背景に存在する「左道タントラ」思想に関するご報告をしていただきます。
万障お繰り合わせの上、ご参加ください。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な柔らかい研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

第48回南アジア学会月例懇話会

日時:2012年8月11(土)13:00-15:00
場所:東京大学本郷キャンパス法文2号館 3F 第三会議室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_02_j.html

発表者:澁谷俊樹(慶應義塾大学)
タイトル:「左道タントラ」のカーリー女神祭祀

要旨:カルカッタの火葬場の遺体焼き場の上で行われるカーリー女神祭祀について、再調査に向けた中間報告を行う。この祭祀には、「一体の人間の遺体が運ばれて来なかった場合、祭祀は行わない」、「火葬場で働くドームが祭祀を補助する」、「山羊を供犠する」など、「左道タントラ」に関わるとされる様々な規則(niyam)や秘密(rahasya)があり、祭祀の歴史として一般に知られる王権や在地領主とは異なる要素やルーツが含まれる。
  祭祀は大小4つの遺体焼き場の上でほぼ同時刻に行われる。前回調査したのは主に大型の焼場の上で神像を安置して執行される祭祀である。残り3つの小型の焼場で行われる祭祀について再調査を予定しているが、秘密が絡むこともあり、背景となる観念やテクストが部分的にしか明らかになっていない。このカーリー女神の代表的な秘密は、①「舌を出していない」ことであるが、他にも、②人間の遺体を必要とする点、③大型の焼場の上で祭祀が終了したあと、小型の焼場に人々から「シヴァ」と呼ばれる「サリーを着た男性」と、「ターラ」と呼ばれる女性が登場し、祭祀を始め、大型の焼場の祭祀の進行に「妨害」を加える点など、背景が不明である。③については映像を交えて説明する。
  報告では、「左道タントラ」に絡む規則と秘密について聞き取ることができたコンテクストとテクストの一部を整理し、遺体が不可欠である理由について、及びこのカーリー女神が舌を出していない理由について、暫定的な分析を行う。人類学を主な調査手法とするが、文献学や図像学、タントラ研究からぜひともご意見を頂きたい。

以上、皆さまのご参加をお待ちしております。

懇話会担当委員
小西公大/和田一哉/澤田彰宏/梅村絢美
※お問い合わせは小西(bakeneko.ltd@gmail.com)まで。

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第47回南アジア学会月例懇話会のご案内

日本南アジア学会第47回月例懇話会のご案内をお送り致します。今回は一橋大学大学院博士後期課程に在学されている田口陽子さんをお招きし、インドにおける「新中間層」の台頭と都市における「公共」空間の形成に関して、フィールドワークに基づいた実証的な研究の成果をご発表いただきます。万障お繰り合わせの上、ご参加ください。

※月例懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

第47回南アジア学会月例懇話会

日時:2012年7月29(日)14:00-16:00
開催場所:東京大学 本郷キャンパス 法文1号館 210号教室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

発表者:田口陽子(一橋大学大学院社会学研究科)
タイトル:「インド都市部における「汚物」と公共空間についての人類学的考察」

要旨:今日、インドの都市部では、エリートや(新)中間層の活動家による市民運動が台頭している。彼らの目的は、都市の公共空間からスラムや露店、ゴミなどの「汚物」を排除し、美しい「ワールドクラス都市」を作ることである。先行研究においては、インドの新自由主義的傾向や「新中間層」の出現そのものが、新しい市民運動の説明として用いられてきた。しかし、そこでは現在の市民運動の形成過程が看過される傾向にある。本発表では、植民地期以降のインドの都市におけるウチとソト、「公共」空間についての議論を概観したうえで、ムンバイの美化キャンペーンの事例から、現代の市民運動における過去との連続性と差異を検討する。特に、運動で用いられる形式や用語に焦点を当て、それらが喚起するイメージに留意しながら、「新しい」市民運動とその言説が効果を発揮する過程を考察する。

以上、皆さまのご参加をお待ちしております。

懇話会担当委員
小西公大
和田一哉
澤田彰宏
梅村絢美
※お問い合わせは小西(bakeneko.ltd@gmail.com)まで。

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第4​6回月例懇話会のご案​内

【各位】
初夏を思わせる陽気になってまいりました。皆様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。大変遅いスタートとなってしまいましたが、日本南アジア学会第46回月例懇話会のご案内をお送り致します。東京外大大学院に今春入学され、現在FINDASでもお手伝いいただいている大石海さんによる「モスク(マスジド)」をめぐる研究報告です。万象お繰り合わせの上ご参加いただきますようお願い申し上げます。

※月齢懇話会は、若手・中堅・大御所の別を問わず、ざっくばらんな議論が可能な柔らかい研究会です。周囲の皆様にお声掛けをお願いいたします。
※本会は、今後も若手の萌芽的研究のバックアップをしていく所存です。ご発表に関しましては下記連絡先に、お気軽にお声かけください(論文執筆前のブレーンストーミングや学会発表の練習にもお使いいただけます)。

第46回南アジア学会月例懇話会
日時:2012年6月9(土)14:00-16:00
場所:東京外国語大学本郷サテライト8階会議室
アクセスマップはこちら => http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html

発表者:大石海(東京外国語大学総合国際学研究科)
タイトル:「モスクが語るイスラーム―モスクの比較研究からみるイスラーム認識」

要旨:今回の発表では、パキスタンと日本のモスク(マスジド)の比較分析を試みる。
モスクは、ムスリムにとって物質的にも精神的にも重要な意味を持つものである。そのモスクが、パキスタンと日本という、異なる社会存在するとき、どのような差異あるいは類似を見せるのか。その点を解明するために、主にモスクの設立経緯や内外での活動に焦点を当て、比較検討を行った。
こうした比較研究によって、現代日本を生きる我々が自明のこととしてとらえている自文化(あるいは異文化)をより俯瞰的に見ること、解釈することを可能にしてくれると思われる。

以上、皆さまのご参加をお待ちしております。

懇話会担当委員:
小西公大/ 和田一哉/ 澤田彰宏/ 梅村絢美

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第4​5回月例懇話会のご案​内

第45回の月例懇話会では、京都に引き続き、本年3月に出版されました石坂晋哉氏の著書『現代インドの環境思想と環境運動―ガーンディー主義と“つながりの政治”』(昭和堂)の書評会を下記の日程で開催いたします。

日時:2011年12月10日(土) 13:00-15:00
開催場所:東京大学 本郷キャンパス 赤門総合研究棟 739号室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html

書評担当者:大田真彦さん(筑波大学大学院生命環境科学研究科)

内容紹介を行うとともに、分野の違う数名の方にコメントをお願いし、参加者を巻き込んだ活発な議論を展開させる予定です。
年末のお忙しい時ではありますが、皆さまのご参加をお待ち申し上げます。

懇話会担当委員:小西公大/ 和田一哉/ 澤田彰宏/ 梅村絢美

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第4​4回月例懇話会のご案​内

今回は東京大学で宗教学を学ばれている虫賀幹華さんをお迎えして「現代ヒンドゥー教における祖先崇拝」と題し、現代インドにおける祖先崇拝のあり方を、具体的な実地調査の経験をもとに、宗教学的見地からお話しいただきます。
当日は文化の日で休日です。万障お繰り合わせのうえご参加いただければ幸いです。

※月例懇話会は若手研究者のみならず、様々な世代の研究者たちが大学や研究分野を越えて交流する場です。皆さまのご参加とともに、学部、院生などへの呼びかけをぜひともお願い申し上げます。

日時:2011年11月3日(木) 13:00-15:00
開催場所:東京大学 本郷キャンパス 赤門総合研究棟 739号室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html

発表題目:「現代ヒンドゥー教における祖先崇拝 ―宗教学の見地から―」
発表者: 虫賀幹華 (日本学術振興会特別研究員DC/東京大学大学院 宗教学宗教史学専攻)

発表要旨:現代のインドのヒンドゥー教には、「ピトリ・パクシャ(祖霊の半月)」という祖先供養を行うのに適した期間がある。発表者は今年のピトリ・パクシャ期間中、北インドのアッラーハーバードにおいて調査を行った。本発表の前半では、この調査から捉えることのできた、ヒンドゥー教における祖先崇拝の実践の実態について報告する。そして後半では、これまであまり注目されてこなかったと思われる、祖先崇拝という側面から、ヒンドゥー教を捉え直してみることの可能性を提示したい。

懇話会担当委員:小西公大/ 和田一哉/ 澤田彰宏/ 梅村絢美

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第4​3回月例懇話会のご案​内

【日時】2011年8月6日(土) 14:00-17:00
【場所】東京外国語大学本郷サテライト3階セミナールーム
http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html

【発表題目】エピック・サーンキヤの宇宙論
【発表者】三澤祐嗣(東洋大学大学院仏教学専攻博士課程)

【発表要旨】
サーンキヤ思想は、古くからインド思想の根幹を担ってきた重要な思想の1つである。本発表では、『マハーバーラタ』などに多く説かれているエピック・サーンキヤと呼ばれるサーンキヤ思想の初期段階を中心に、思想史的展開をふまえつつ、サーンキヤ思想において現象世界がどのように捉えられていたか概観する。
月例懇話会は若手研究者のみならず、様々な世代の研究者たちが大学や研究分野を越えて交流する場です。
皆さまのご参加とともに、学部、院生などへの呼びかけをぜひともお願い申し上げます。

懇話会担当委員
杉本浄、小西公大、和田一哉
(問い合わせは小西(kodai1207@yahoo.co.jp)までお願いいたします)

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第4​2回月例懇話会のご案​内

日本南アジア学会 第42回月例懇話会のお知らせ

期日:2011年7月2日(土)
時間:13:00-16:00
報告内容:常田夕美子著『ポストコロニアルを生きる―現代インド女性の行為主体性』世界思想社の書評会
開催場所:東京大学 本郷キャンパス 赤門総合研究棟 739号室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_08_02_j.html

発表者:梅村絢美(首都大学東京人文科学研究科博士課程)
梅村さんに同書の紹介および論点の提示をしていただき、参加者で討論をする形といたします。
(残念ながらご都合のため、常田先生ご本人はご参加いただけません)

*月例懇話会は若手研究者のみならず、様々な世代の研究者たちが大学や研究分野を越えて交流する場です。皆さまのご参加とともに、学部、院生などへの呼びかけをぜひともお願い申し上げます。

問い合わせ先:kodai1207@yahoo.co.jp
懇話会担当委員
小西公大・杉本浄・和田一哉

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第4​1回月例懇話会のご案​内

日本南アジア学会 第42回月例懇話会のお知らせ

期日:2011年5月7日(土) 14:00~
場所:東京大学本郷キャンパス法文2号館 第三会議室
アクセス:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html

発表者:森悠子(一橋大学経済学研究科博士課程)
発表タイトル:「留保議席制度と投票行動-インドにおける実証分析-」

発表要旨:インドでは、独立以来、指定カーストと指定部族に対する留保議席制度が採用されている。この制度の下では、留保区に指定された選挙区において、全ての有権者は指定グループの候補者にしか投票できない。本発表では選挙に関する大規模個票データ(NES)を用い、これまで分析されることのなかった、留保議席制度と指定グループやそれ以外の有権者の投票行動について分析してみたい。

*月例懇話会は若手研究者のみならず、様々な世代の研究者たちが大学や研究分野を越えて交流する場です。皆さまのご参加とともに、学部、院生などへの呼びかけをぜひともお願い申し上げます。

問い合わせ先:kodai1207@yahoo.co.jp
懇話会担当委員
小西公大・杉本浄・和田一哉

 

11月は東文研セミナーと共催で、 1125日(金)に

エディンバラ大学のJacob Copeman氏をお呼びして下記のとおり研究会を開催いたします。

Copeman氏は南アジアの人類学者で最も注目されている新進気鋭の研究者の一人です。

英語での発表になりますが、皆様にふるってご参加いただければと思います。

 

http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/news/news.php?id=WedNov21258552016

日本南アジア学会月例懇話会が118日(水)に開催されます。

 

今回は、Indian Institute of Technology (Hyderabad)Assistant ProfessorであるDr Haripriya Narasimhanさんにヒンディー語のテレビドラマについての発表をしていただきます。

 

Narasimhanさんは、C. J. Fullerとの共著でTamil Brahmans: The Making of a Middle-Class Caste (Chicago University Press, 2014)などの著作がある人類学者で、医療人類学、メディア人類学などを専門とされています。

ヒンディー語の昼ドラの「嫁・姑」ものはインド全土で大変人気がありますが、これまで研究の対象とされてきませんでした。今回の発表では、変容するインドの家族像、ジェンダー関係のダイナミズムなど新しい視点からお話していただきます。昼ドラの一部を実際に紹介していただく予定ですので、楽しい発表になるのではないかと思います。

 

なお、事前の申し込みなどは不要で、どなたでもご参加いただけます。

発表は英語で行われます。

入試試験など忙しい時期になりますが、皆様多数のご参加をお待ち申し上げます。

 

【日時】

2017118日(水)18: 0020: 00

 

【会場】

東京大学東洋文化研究所 第2会議室

 

【報告者】

Dr. Haripriya Narasimhan, Assistant Professor, Department of Liberal Arts, Indian Institute of Technology Hyderabad, India

 

【発表題目】

Stories from the small screen: An ethnographic study of the Hindi Television Soap Opera world

 

【要旨】

Television occupies a very important space in the mediascape of India, with nearly 167 million households owning one (TAM 2015). In particular, daily soap operas, known as serials, are watched by millions of people across the country, in various languages. Referred to disdainly as ‘saas-bahu’ (mother in law-daughter in law) stories for their focus on women and family conflicts, these serials are overlooked by social scientists, who tend to focus more on the film industry, especially Bollywood. This paper, based on fieldwork in Mumbai, among industry professionals, argues for a look at television as a site where tensions about an increasingly globalizing nation are articulated every evening, for months and years, in the public realm. It is more in the small screen of television that transformations in families, and gender dynamics are debated openly and more vibrantly, in India.  

 

【問い合わせ先】

担当: 池亀彩 ayaikegame@mac.com