学会関連新着情報 2016/11/26
12/17開催 日本南アジア学会第69回月例懇話会
12月17日(土)の日本南アジア学会月例懇話会開催のお知らせです。
今回は、東京大学大学院博士課程およびインドのイラーハーバード大学博士課程に留学中の虫賀幹華さんに、ヒンドゥー教の祖先祭祀で著名なビハール州のガヤーにおける巡礼者を相手とする聖職者(パンダー)の伝承と起源をめぐるご発表をしていだだきます。
なお、事前の申し込みなどは不要で、どなたでもご参加いただけます。
年末のお忙しい時期かと存じますが、皆様多数のご参加をお待ち申し上げます。
【日時】
2016年12月17日(土曜) 14:30-17:30
【会場】
東京大学東洋文化研究所 第3会議室
【報告者】
虫賀幹華 (東京大学人文社会系研究科宗教学宗教史学博士課程/イラーハーバード大学古代史・文化・考古学学科博士課程)
【発表題目】
「ガヤーワーラの起源を探って―神話・伝承・歴史」
【要旨】
ヒンドゥー教の聖地には、パンダーと呼ばれる地元の世襲聖職者集団が必ず存在する。儀礼執行のための祭司や材料、宿や食事などを巡礼者に提供するのがパンダーの主な役割である。パンダーたちは何世代も前からその聖地に居住しているが、周辺地域からの移住者である場合が多い。祖先祭祀に適した場所として有名なビハール州南部の聖地ガヤーのパンダー「ガヤーワーラ」も、祖先の一人がアウラングゼーブから封土を授かったあと、周辺の村々から移住してきたと伝えられている。一方でガヤーワーラは、自分たちの出自を「ブラフマカルピタ・ブラーフマナ」であると説明する。『ヴァーユ・プラーナ』に挿入された『ガヤーマーハートミヤ』に基づき、ガヤーの地で行われた供犠の際にブラフマー神が創造したブラーフマナたちが彼らの祖先であるという。「ブラフマー神によって指定されたブラーフマナたちを供物などで崇拝すべし。彼らの満足によって、すべての神々は祖先たちとともに満足する(『ヴァーユ・プラーナ』2.43.21, 2.43.42,2.49.92)。」このシュローカを、自身の正統性を示すために引用するガヤーワーラもいる。
成立年代の明らかな文献のなかで「ブラフマカルピタ・ブラーフマナ」に言及する最初の文献は13世紀初頭の『スムリティチャンドリカー』である。ガヤーワーラたちのガヤーへの移住は17世紀後半であるとみられる。彼らは現在にいたるまで神話を根拠としながらガヤーのパンダーとして活動を続けてきた。本発表は、プラーナ聖典の神話、人びとが語る伝承、碑文などから得られる歴史的事実を総合して、ガヤーワーラの起源を明らかにすることを試みる。
【問い合わせ先】
担当:澤田彰宏
akisawadajp@gmail.com