学会関連新着情報 2018/01/12
2月3日開催 第75回日本南アジア学会月例懇話会開催
第75回日本南アジア学会月例懇話会開催のお知らせ
第75回月例懇話会を下記の通り開催いたします。
午前中の開催となりますが、皆様お誘い合わせのうえ、ぜひお運びくださいますようお願い申し上げます。
日時:2月3日 10:00-12:00
会場:東京外国語大学本郷サテライト4階会議室 http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
報告者:藤音晃明
報告タイトル:インドの家族法に関する諸問題―ムスリムの離婚慣習「トリプル・タラーク」の問題を中心に
要旨: 2018年1月現在、インドは万人に一律適用される民法典を持たず、結婚や遺産相続、養子縁組といった家族に関わる事案に関しては、主要な宗教コミュニティがそれぞれの家族法(personal law)を持っている。インドでは、宗教的な事柄に関してコミュニティの自己決定権が憲法で保障されており(第26条b)、家族法の存在も、そこに根拠を持つと一般に理解されている。しかし、家族法分野における宗教コミュニティの自己決定権を手放しに肯定するならば、仮にある宗教の掟や慣習が社会的弱者に対して抑圧的な内容を含む場合、その施行を許すことによって国家が人権侵害を追認することになり、コミュニティの権利と個人の権利の衝突という難問を生じる。
家族法制度に内在するこうした根本的な問題をはっきりとした形で提起しているのが、現在さかんに議論されているムスリムの離婚慣習「トリプル・タラーク」の問題である。本報告では、トリプル・タラークをめぐる現在に至るまでの論争の経緯を概観しつつ、それがいわゆる統一民法典(uniform civil code)の問題に関してどのような含意を持つのかといった事柄についても議論を試みたい。また今回の報告は、報告者が今年出版を予定しているブックレット『インドの法律と宗教―家族法から見るインド近現代史』(風響社「アジアを学ぼう」シリーズ)の構想発表的な性格を持つものであり、トリプル・タラークの問題を中心に、家族法制度そのものについての全般的な議論も行う予定である。
お問い合わせは、足立 adachi.kyosuke[at]gmail.com までお願いいたします。(括弧内を@にご変更ください)