日本南アジア学会

日本語English
日本南アジア学会第26回全国大会プログラム

第26回全国大会

期日:2013年10月5日(土)・6日(日)
会場:広島大学大学院文学研究科(東広島キャンパス)

 

10月5日(土)

13:00~15:00 自由論題(言語・文学)・(政治・経済)、テーマ別セッションⅠ・Ⅱ、ビデオ報告

<自由論題(言語・文学)>(第3会場:1F B104講義室)

司会:水野 善文

[1A1-1]安永 有希「デーヴキーナンダンの再評価―20世紀初頭のヒンディー大衆文学作家に関する考察―」
[1A1-2]山畑 倫志「ラーサー・バンダの形成について」
[1A1-3]町田 和彦*・萩田 博・萬宮 健策「ヒンディー語とウルドゥー語における語形成の問題について」
[1A1-4]松村 耕光「ウルドゥー語における不定詞の名詞的用法について」
[1A1-5]山部 順治「オリヤ語における、動詞に自他性を標示する構文とそうしない構文」
( * は発表者)

<自由論題(政治・経済)>(第4会場:1F B153講義室)

司会:中溝 和弥・内川 秀二

[1A2-1]山崎 幸「スリランカの政治的雇用」
[1A2-2]板倉 和裕「インドの制憲政治と「憲法の父」B.R.アンベードカルの役割」
[1A2-3]油井 美春「現代インドのコミュニティ・ポリシングによる暴動予防―ソーシャルワークの意義と活動の類型化―」
[1A2-4]黒崎 卓「Rainfall and Temperature Index Insurance in Madhya Pradesh, India(インド・マディヤ・プラデーシュ州における降雨・気温インデックス保険)」

<テーマ別セッションⅠ>(第1会場:2Fリテラ(B204大講義室))

「インド農村の今:ビハール・パンジャーブ・タミルナードの現地調査の事例から」

代表者:柳澤 悠

趣旨

本セッションは、インドの中でも重要な特徴をもつ三地域の農村社会の変容について、報告者等が行った現地調査の結果等に基づき報告し、比較検討する。パンジャーブ農村では、年収20万ルピーを超える農家も少なくなく、農業経営の拡大を志向する経営者層がいるが、タミルナードでは、村落の上層階層は農業から離脱し、農業経営は家族労働に基づく経営の方向を示している。ビハールでは、下層階層からの出稼ぎ者は増大しつつ出稼ぎ先を多様化しているが村に残る家族も零細経営を維持し、上層階層もデリー等にでて専門職を志向するが完全離村はしない。これら3地域の農村の動向の差異を、農村社会の構造の歴史的な差異、家族労働を主体とする農業経営の成立の程度、農業外のビジネスの可能性、非農業雇用機会などを含めた地域・州における全体的な発展のあり方、などの視点に留意しながら、比較検討することを目指している。

<報告>

[1A3-1]杉本 大三「「緑の革命」の終焉とパンジャーブ農村の変容」
[1A3-2]柳澤 悠「「社会革命」下のタミルナード村落」
[1A3-3]押川 文子「ビハール州の農村変化:『労働移動依存型』農村の現状と行方」

<テーマ別セッションⅡ>(第2会場:2F B251講義室)

「インド社会経済変動の空間分析」

代表者:水島 司

趣旨

1960年代半ばからの緑の革命の進展、90年代初頭の経済開放政策への転換など、幾つかの経済的契機を経て、21世紀のインド社会はめざましい勢いで変化しているかに見える。しかし、そのような成長がどの程度の深度をもって進んでいるのかはもちろん、どのような空間的偏差をともなっているのかについて、我々は批判に耐えられる認識を持っているわけではない。

本セッションは、近年急速に広まりつつある空間分析技法(GIS)を共通の手法とし、土地台帳、センサス、NSSをはじめとする各種統計を用いて、人口、耕地、移動、公共財、賃金、教育、都市化などの側面から長期のインド社会経済の動きを分析し、それらを通じてインド社会の地域発展パターンを剔出しようという試みである。

<報告>

[1A4-1]水島 司「19世紀南インドの開発と村落構造に関する空間的考察」
[1A4-2]宇佐美 好文「センサス・タウンの急増―インドにおける都市化の一側面―」
[1A4-3]佐藤 隆広「インド「地域」パネルデータからみた長期経済変動と実質賃金率」
[1A4-4]栗田 匡相「インドにおける生活インフラの普及と地域間格差」

<ビデオ報告>(第5会場:2F B201講義室)

[V1]南出 和余「シムルの夢と葛藤」

15:00~15:15 休憩 休憩室(2F B253講義室)

 

15:15~17:15 自由論題(ブータン・その他)・(イスラーム・その他)、テーマ別セッションⅢ、ビデオ報告

<自由論題(ブータン・その他)>(第2会場:2F B251講義室)

司会:宮本 万里・片岡 啓

[1B1-1]藤原 整「ブータンにおける経済成長と情報化―未成熟市場とインドへの依存による構造的脆弱性―」
[1B1-2]平山 雄大「1960年代後半のブータンにおける近代学校教育政策―『第2次5ヵ年計画』の分析を中心に―」
[1B1-3]出野 尚紀「建築論書Samarāṅgaṇasūtradhāraにおける世界観」
[1B1-4]デロッシュ 裕子「味覚から見るインド文化―インド伝統医学文献にみられるrasaの理論について―」
[1B1-5]水上(岩田) 香織「北米太平洋岸におけるインド系移民社会の形成―20世紀初頭バンクーバーを中心に―」

<自由論題(イスラーム・その他)>(第3会場:1F B104講義室)

司会:山根 聡

[1B2-1]小牧 幸代「イスラーム改革主義と聖遺物信仰―バレーリー派の思想とチシュティー系聖者廟の実践―」
[1B2-2]榊 和良「イスラーム文献に見るインドの出家修行者たち」
[1B2-3]Momotaj Begum「Muslim Women’s Negotiation for a New Space in between Public and Private: the case of Female Tabligh Jammat in Bangladesh」
[1B2-4]Humayun Kabir「Muslim’s Education in India: Patterned Religious-Cultural Norms and Social Disparity in a Community in Hapur District in Uttar Pradesh」
[1B2-5]溝上 富夫「バングラデシュの独立に貢献した外国人たち―Bangladesh Freedom Honour, Bangladesh Liberation War Honour, Friends of Liberation War Honour 受賞者に見る―」

<テーマ別セッションⅢ>(第1会場:2Fリテラ(B204大講義室))

「先達に聞く:日本の南アジア研究とその時代」

代表者:押川 文子

[1B3-1]報告者:前田 專學
※古賀正則氏の報告はキャンセルになりました

聞き手:丸井 浩
司 会:押川 文子

趣旨

戦後の南アジア研究が本格的に始まってからすでに半世紀余、本セッションは、諸先達へのインタビューを通じて、日本の南アジア研究の歩みとその特色、そしてそれぞれの「時代」をともに考えようとする試みです。 初回である今回は、インド哲学研究において大きな足跡を残してこられた前田專學先生をお招きし、丸井浩会員が、ご研究の歩み、そして次世代の研究者へのメッセージをお伺いします。 (2013/09/10修正)

<ビデオ報告>(第5会場:2F B201講義室)

[V1]南出 和余「シムルの夢と葛藤」(再上映)

17:30~18:30 会員総会(2Fリテラ(B204大講義室))

 

18:45~20:30 懇親会(北2食堂ホール)

 

PAGETOP

10月6日(日)

9:30~12:00/12:30 自由論題(文化人類学・人文地理学)、テーマ別セッションⅣ・Ⅴ

<自由論題(文化人類学・人文地理学)>(9:30~12:00)(第3会場:1F B104講義室)

司会:岩谷 彩子・安野 早己

[2A1-1]豊山 亜希「大戦間期インドのハヴェーリー建築におけるモダニズムとナショナリズム―日本製マジョリカタイルの受容に着目して―」
[2A1-2]松村 恵里「「伝統的」染色布を対象としたデザイン開発の貢献と課題―アーンドラ・プラデーシュ州で製作される手描きカラムカリの事例から」
[2A1-3]杉江 あい「バングラデシュ農村におけるムスリム楽師集落」
[2A1-4]別所 裕介「重なり合うビジョンと聖地―南アジアの広域仏蹟開発におけるチベット仏教教団の立ち位置をめぐって」
[2A1-5]Arija Vaidya「Caste Division in Newar Society and its Influence in Newar Guthi : Cases of Si and/or Sana Guthi of Kathmandu」
[2A1-6]森本 泉「移動をめぐる社会空間の変容 ネパール北西部マナンを事例に」

<テーマ別セッションⅣ>(9:30~12:30)(第2会場:2F B251講義室)

「変貌するバングラデシュ社会の光と影―周辺から見た南アジア世界」

代表者:外川 昌彦

趣旨

バングラデシュは、過去5年間のGDP平均成長率が6.2%という安定した経済成長を続けている。縫製産業の発展は、中国に次ぐ世界第二位の衣料品輸出国として、好調な海外出稼ぎとともに、バングラデシュ経済をけん引している。米国証券会社は、バングラデシュをBRICsに次ぐ「ネクスト11」に加え、ユヌス氏のノーベル平和賞やユニクロの現地進出は、バングラデシュの躍進を印象づけている。しかし、その経済発展は、世界最大級の稠密な人口規模を背景とした安価な労働力に由来しており、急速な社会変化の裏には様々な矛盾や課題も隠されている。本年4月の工場崩落事故はそれを象徴するものとなり、年内に予定される総選挙では、さらなる政情不安の拡大が懸念されている。本セッションでは、このような変貌を遂げる現代バングラデシュ社会を、多様な専門家による最新の動向分析を通して検討し、グローバル化する南アジア世界に与えるその意味を多角的に検証する。

<報告>

[2A2-1]外川昌彦:趣旨説明
[2A2-2]村山真弓「衣料品製造業の変遷が示すバングラデシュの経済社会変化」
[2A2-3]南出和余「バングラデシュ経済成長下の若者たちの出稼ぎ経験」
[2A2-4]日下部尚徳「バングラデシュにおけるソーシャルビジネス―グラミン・グループの取り組みを事例に―」
[2A2-5]七五三泰輔「バングラデシュにおける地方自治と参加型ローカル・ガバナンスの現況―都市ガバナンスとインフラ整備プロジェクトを事例として―」
[2A2-6]丹羽京子「独立戦争と文学」 ディスカッサント:池田 恵子、田辺 明生 司会:高田 峰夫

<ビデオ報告>(第2会場:2F B251講義室)

[V1]南出 和余「シムルの夢と葛藤」(再上映)

<テーマ別セッションⅤ>(9:30~12:30)(第1会場:2Fリテラ(B204大講義室))

「Population and Development in India: Towards a Regional Typology」

代表者Representative:Kohei WAKIMURA(脇村 孝平)
ディスカッサントDiscussants:Takashi KUROSAKI(黒崎 卓), Yoshifumi USAMI(宇佐美 好文)

趣旨 Abstract

This session aims to consider the relationship between population dynamics and development in India from the historical perspective by taking account of socio-economic characteristics of different regions. It also focuses on how such regional population dynamics are reflected in the patterns of uneven socio-economic development across regions in contemporary India. Kohei WAKIMURA will present an overview of the issues and perspectives involved in historical studies of population and development in India. Tsukasa MIZUSHIMA will take up a case study of Tamil Nadu in 19th and 20th centuries. He will look at the demographic transformation of the region in relation to changes in agrarian society and economy, using extensive GIS data. Ravindran GOPINATH will speak on demography and agrarian regimes in South India by mapping fertility changes across place and time. He will focus on temporal and regional characteristics by using GIS data. K.S. James will talk about the recent trend of India’s demographic change from the perspective of regional comparison such as the north-south divide. Takashi KUROSAKI and Yoshifumi USAMI will be discussants for this session. This session mainly focuses on the modern period, the past two hundred years.

<Program>

[2A3-1]Kohei Wakimura: Human Settlement and Population in the Indian History: A Preliminary Note
[2A3-2]Tsukasa Mizushima: Demographic Change and South Indian Society in the late 19th Century
[2A3-3]Ravindran Gopinath: Mapping Mortality Decline across Place and Time: A study of colonial southern India
[2A3-4]K. S. James: India’s Demography: Insights from the Past and Future Challenges

12:30~13:30 昼食休憩、ビデオ報告、各種委員会会議

 

13:30~16:30 全体シンポジウム「大地からみる南アジア世界—環境へのアプローチを考える」 (第1会場:2Fリテラ(B204大講義室))

司会:柳澤 悠・岡橋 秀典

趣旨

環境問題への対応、環境との共生は今や世界的な課題である。特に、中国やインドなど急成長する新興国では環境破壊、環境汚染、自然災害など環境に関わる様々な問題が噴出している。環境にどうアプローチするかは、今日の学問につきつけられた大きな課題であるといえよう。

環境はきわめて複雑かつ広範な内容をもつ。自然科学的なアプローチとともに、人文科学からの考察が不可欠な所以である。また、環境が所在する地域のコンテキストも十分にふまえなければならない。この点で、自然、歴史、政治、経済、社会、文化など多様な側面からのアプローチが可能で、それらの総合化を学の課題とする地域研究に期待されるところが大きい。

本シンポジウムでは南アジアの環境に焦点を当て、地域研究における環境研究の今後を展望してみたいと考える。

<報告>

[2B1-1]岡橋 秀典:趣旨説明
[2B1-2]松本 淳*・浅田 晴久「南アジアの気候と農業」
[2B1-3]宮本 真二「南アジア地域(ブラマプトラ川流域)の民族移動と土地開発」
[2B1-4]山下 博司「インドの環境思想と現代―その可能性と限界とをめぐって―」
[2B1-5]水野 祥子「イギリス帝国の森林政策とインドの経験―帝国林学会議(1920~1947)を通して」
[2B1-6]三宅 博之「現代都市と環境問題」
( * は発表者)