日本南アジア学会

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「南アジア研究」(和文雑誌)21~30号

和文雑誌『南アジア研究』(ISSN) 0915-5643

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第30号(2018年)

論文

  • 女性たちのジェンダー規範と仕事の空間
    鈴木 亜望
    公開日: 2020/09/14
    p.6-35 本文PDF[1245K]抄録
    バングラデシュの女性は、ジェンダー規範により公的空間から隔離された存在だった。しかし、開発援助と縫製産業により、女性たちが外に出る機会が急増し、パルダ規範といったジェンダー規範や活動と空間を巡って様々な議論が生じている。本稿では、首都ダカの手工芸品生産工房を対象とし、女性たちがいかに仕事と空間を意味づけているかを、活動領域と行動範囲に関して議論する。前者では、女性たちは賃金労働を家との関係でとらえ、男性が一家の稼ぎ手であるという規範を維持しようとする。後者では、女性たちは縫製工場や家と対比して、工房を「女性たちの場所」と意味づける。女性の物理的な行動範囲は拡大しているが、それは賃金労働の場に、女性性を付与し、安全な場所と表象することによって可能にしている。ジェンダー規範は近代的なイデオロギーと対立しているように見えるが、女性たちはそれを読み換えて、より良い生活を獲得しようと実践している。

研究ノート

  • 19世紀初頭のインド派遣書記教育
    倉橋 愛
    公開日: 2020/09/14
    p.36-52 本文PDF[1226K]抄録
    インドで統治業務に就く文官の質を高めるべく、1800年にウェルズリー総督(Richard Colley Wellesley, 1760-1842)によって、カルカッタ(現コルカタ)にフォート・ウイリアム・カレッジが設立された。本稿においては、同カレッジにおいて実施された試験と、ディベート大会である公開討論会について取り上げている。試験の実施頻度については、先行研究において、様々な記述がなされてきた。試験の結果を基に、学生のクラス分けが行われ、賞金やメダルを授与する制度も存在していた。1830年代から授業が不開講となり、その代わりに口述と筆記の試験が隔週で実施されることとなったが、このことについては先行研究において殆ど言及されてこなかった。公開討論会は、インド統治に関連した議題について、インド現地語で実施された。この討論会の大きな目的として、イギリスによるインド統治の正当性を示すことが挙げられる。そうした点において、この討論会はディベート大会以上の重要な意味を持つ行事であったと言える。

書評論文

書評

学会近況

特別企画

編集後記

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第29号(2017年)

論文

  • ネパール・カトマンドゥ盆地におけるハムロ・空間の表出
    伊東 さなえ
    公開日: 2018/10/31
    p.6-32 本文PDF[1643K]抄録
    本稿は、ネパール・カトマンドゥ盆地で廃棄物が暗示してきた空間と、その変遷について論じるものである。カトマンドゥ盆地では、人体の分泌物に関係する廃棄物が家屋や集落のウチとソトの境界を暗示してきた。特に、家屋のウチの衛生的な清潔さと儀礼的な清浄さは、女性が確保するべきであるとされてきた。1990年代の開発プロジェクトにより、女性グループが各地で結成された。それにより、女性たちの活動範囲と人間関係は大きく拡大した。同時期に廃棄物の質と処理方法が大きく変化した。近年、女性たちは廃棄物を処理するための組織を立ち上げた。彼女たちは「ハムロ(我々の)」という言葉を用いて、廃棄物処理活動の動機を説明している。彼女たちが清潔に保ちたいと考えるハムロ・空間は、伝統的な集落の空間とも、行政により管理された公共の場とも異なる、現代カトマンドゥ盆地に新たに出現した、身近でありつつ、より開かれた空間である。
  • 17世紀における港市スーラトの形成
    嘉藤 慎作
    公開日: 2018/10/31
    p.33-60 本文PDF[766K]抄録
    本稿は、17世紀初頭以降、港市スーラトの港湾機能を担ったスワーリー港に着目し、同港の利用開始以降に施設やその利用に関する制度が整備される過程を検討する。その上で、同港が港市スーラトの一部を形成するようになったということを議論する。
    スーラト県知事がイギリス東インド会社に対して停泊地として紹介し、スワーリー港の利用は始まった。ヨーロッパ船のタプティ川遡航を禁止するというムガル朝側の思惑もあり、同港は主にヨーロッパ諸会社の船が利用した。ヨーロッパ人は周辺に住居や倉庫も建設し、防御施設も整備した。スーラト市との間の輸送には陸路と水路の両方が用いられた。このように、スワーリー港は港市スーラトの港湾機能の一部を担うようになった。一方、17世紀前半に、関税徴収をめぐる問題を契機として、同港は事実上スーラト県知事の管理下に置かれた。かくして、スワーリー港は港市スーラトの一部を形成するようになったのである。
  • スワーミー・ヴィヴェーカーナンダにおける宗教とナショナリズム
    外川 昌彦
    公開日: 2018/10/31
    p.61-91 本文PDF[810K]抄録
    本稿は、近代インドのヒンドゥー教改革運動を主導し、ラーマクリシュナ教団を創設したスワーミー・ヴィヴェーカーナンダの宗教観の変遷を、特に仏教への言及を手掛かりとして検証する。ヴィヴェーカーナンダは、1893年のシカゴ万国宗教会議では、ヒンドゥー教をヴェーダーンタ思想を根幹とする合理的で体系的な宗教として西欧世界に紹介したことで知られ、今日ではグローバル化するインドの国民意識を体現する愛国主義者としても注目されている。そのヴィヴェーカーナンダの仏教への言及を、本稿では、次の4つの時期に区分して検討する。 ①シカゴ宗教会議における仏教との類縁性を通したヒンドゥー教の紹介、②3年半の欧米での活動を通した仏教を包摂するヒンドゥー教という観点の提示、③1897年のインド帰還後の「仏教的退廃」に関する認識の背景、④最晩年に言及された、仏教とヒンドゥー教との関係についての「全面的革命」という認識の問題である。
  • 公私を架橋する身体のポリティクス
    間 永次郎
    公開日: 2018/10/31
    p.92-123 本文PDF[786K]抄録
    本稿では、南アフリカでガーンディーのサッティヤーグラハ闘争が誕生する過程において、ガーンディーの「ブラフマチャリヤ(性的禁欲)」の実験がいかなる役割を果たすものであったのかを探究した。本稿では、第一に、サッティヤーグラハ闘争の開始を告げる1906年の人種差別法案撤廃を訴えるガーンディーの政治集会の演説をグジャラーティー語の原文から分析した。これにより、闘争の誕生を特徴付けていたものは、集会の中で、突如、ガーンディーが体験した内なる「シャクティ(śakti)」の発生にあったことを示した。第二に、1913年にガーンディーがブラフマチャリヤの実験の一つである「精液結集(vīryasaṇgrah)」について記した「秘密の章(Guhya Prakaraṇ)」と題するグジャラーティー語の記事を分析した。そして、先の体験が起こった背景には、この精液結集によってガーンディーの身体内に生命力の源泉である「精液(vīrya)」が蓄積されていたことが関係していたことを明らかにした。

研究ノート

  • フォート・ウイリアム・カレッジの開講科目
    倉橋 愛
    公開日: 2018/10/31
    p.124-143 本文PDF[569K]抄録
    フォート・ウイリアム・カレッジ(FWC)は、1800年にインド総督ウェルズリー(Richard Wellesley, 1760-1842)によって、カルカッタ(現コルカタ)に設立された。このカレッジの目的は、インドの政府機関に配属される予定のイギリス東インド会社若手官吏に、インド統治業務に必要な教育を行うことであった。しかし、会社取締役会からの反対を受け、FWCは最初の5年程で、その規模を縮小せざるを得なくなった。 縮小命令後も開講が許されたのは、インド諸語科目であった。特に、ペルシア語とヒンドゥスターニー語が、FWC内では重視された。ベンガル語は当初重視されていなかったが、学生の関心が高く受講者も多かった。また、アラビア語はペルシア語やイスラーム法の研究のため、サンスクリット語はインドの伝統的な思想を学ぶ上で不可欠であるとして、教育が続けられた。 FWCは、縮小命令を受けながらも約半世紀の間存続した。教育内容がインド諸語のみに制約されながらも多くの官吏を輩出したことは、FWCが残した功績の一つであると言える。
  • ネパール・ソルクンブ郡、エベレスト南麓地域における荷運びの苦痛と希望
    古川 不可知
    公開日: 2018/10/31
    p.144-177 本文PDF[4846K]抄録
    本稿では、トレッキング/登山観光の一大メッカとして知られるネパール東部のソルクンブ郡クンブ地方を対象として、ヒマラヤの山間部で荷を運ぶとはいかなる営みであるかという問いを中核に次の三点について論じる。①クンブ地方では観光産業の発展に伴って荷運び労働が階層化してきたこと、②周辺地域から流入して商店などの荷をキロ単価で運ぶ、「ローカル・ポーター」と呼ばれる人々の具体的な実践を報告すること、そして③ローカル・ポーターたちが、自らの仕事よりも相対的に良い仕事とみなすトレッキング・ポーターへの参入に、荷運びを通した階層上昇の希望を見出していること。これらの考察を踏まえたうえで、観光地化が進んだエベレスト地域のポーターたちは、苦痛(ドゥカ)に満ちた荷運びのなかに、外国人を介した発展(ビカス)の場への接近という希望を見出していることを指摘する。

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書評

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第28号(2016年)

論文

  • バングラデシュ村落社会におけるヒンドゥー・ムスリム間関係の変容
    杉江 あい
    公開日: 2018年06月18日
    p.7-33 本文PDF[2084K]抄録
    本稿は、従来個別に扱われてきたバングラデシュのヒンドゥーとムスリムを同一の村落社会空間を共有する主体として捉えなおし、20世紀初頭以降、両者間の関係がいかに構築されてきたのかを、両者が社会的な活動を共同する場であるショマージと青年組合に着目して検討する。事例村では、政治的・社会的な変動に伴うヒンドゥー人口の流出とムスリムの居住空間の拡大により、両者間の物理的・社会的な距離が縮小していった一方で、ヒンドゥーはマイノリティとしての立場を強め、ムスリムがヒンドゥーのショマージの紛争解決や宗教行事に介入することが増えていった。青年組合では、60年以上ヒンドゥーとムスリムが共同してレクリエーション等を実施してきたが、活動の主体や対象は実質的にムスリムに限られるようになり、ヒンドゥーによる参加は形式的なものになっていた。しかし、青年組合はヒンドゥーが村のショマージの一部であることを示す役割を持っていた。
  • 英系インド商会の貿易と商業ネットワーク
    寺本 羽衣
    公開日: 2018年06月18日
    p.34-65 本文PDF[1913K]抄録
    本稿は、明治前期の商工録と貿易取引の分析から、居留地貿易中に横浜の英系インド商会が「英国」商会のような一次産品の輸出・工業製品の輸入に携わらず、隙間貿易(薬種の輸入・「Japanese Curios」の香港・ボンベイ輸出)から新軽工業品(絹織物、マッチ)の対印貿易に先鞭をつけ、日印貿易にて強固な地位を確立する端緒を掴んだことを提示する。これらの商会は中小規模のムスリム、パールシー、シンディー商会で、まず東インド会社の関連会社として参入し、次第にボンベイやハイデラバードを商業拠点とするアジアの支店網の一部として横浜に支店を開設していった。欧米商会、中国商会、日本商会と競合しながら貿易に参入し得た背景には、アジア域内の主要貿易港間に広がる、英系インド商会の緊密な自商会・代理店の商業ネットワークがあった。居留地貿易以後に急増する英系インド商会の基本的な貿易構造を、この時期に移入したシンディー商会にみることができる。

書評論文

書評

学会近況

編集後記

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第27号(2015年)

巻頭特集

  • 座談会 ガーンディー帰国後100年記念特集 ガーンディー再考
    秋田 茂, 井坂 理穂, 石坂 晋哉, 大石 高志, 井上 貴子
    公開日: 2016年08月31日
    p.7-45 本文PDF[1270K]

研究ノート

  • 現代インドにおける「公益の仕事」としてのヒンドゥー寺院運営―マールワーリー商人にとってのラーニー・サティー寺院―
    田中 鉄也
    公開日: 2016年08月31日
    p.46-67 本文PDF[1313K]抄録
    本稿は、ラージャスターン州のラーニー・サティー寺院を事例に、公益団体によるヒンドゥー寺院運営の特徴を分析し、その活動が基礎とする「公益性」を明らかにすることを目的とする。ジャーラーンという親族組織の極めて「私的」な女神信仰は、カルカッタに移住してきたマールワーリー・ジャーラーンが1920年代に自らの財産を「公的なもの」へと読み変えることで、寺院へと姿を変えた。 1957年に慈善協会を組織しこの寺院の占有権を勝ち取ることによって、受託者たちはカルカッタを拠点とした寺院の遠隔地経営を確立した。彼らの寺院運営は特定のコミュニティに限定した共助的活動に終始しているように見える。しかしそれは「公共の財」としての寺院をいかに運営し、何をするべきかを熟知した上で行われた「公益活動」と解釈できる。彼らは自らの活動が受託者に(血縁や地縁などの意味で)直接的に関わりのある範囲に限定された「私的なもの」でないことを証明するために、活動の恩恵を得る対象を具体的な大きさをもったコミュニティとして策定することで、彼らなりの「公益活動」を実現してきたのである。
  • 柳澤悠先生を悼む
    押川 文子
    公開日: 2016年08月31日
    p.70-73 本文PDF[1024K]
  • 柳澤悠先生を悼む
    水島 司
    公開日: 2016年08月31日
    p.74-77 本文PDF[1040K]

書評論文

  • 田森雅一『近代インドにおける古典音楽の社会的世界とその変容 ―“音楽すること”の人類学的研究―』
    田中 多佳子
    公開日: 2016年08月31日
    p.78-86 本文PDF[1230K]

書評

  • 石坂晋哉(編)『インドの社会運動と民主主義―変革を求める人びと―』
    油井 美春
    公開日: 2016年08月31日
    p.87-92 本文PDF[1106K]
  • 近藤則夫『現代インド政治―多様性の中の民主主義―』
    三輪 博樹
    公開日: 2016年08月31日
    p.93-98 本文PDF[1209K]
  • 長尾賢『検証インドの軍事戦略―緊張する周辺諸国とのパワーバランス―』
    清田 智子
    公開日: 2016年08月31日
    p.99-104 本文PDF[1105K]
  • クレイグ・ジェフリー(著)、佐々木宏、押川文子、南出和余、小原優貴、針塚瑞樹(共訳)『イ ンド地方都市における教育と階級の再生産―高学歴失業青年のエスノグラフィー―』
    舟橋 健太
    公開日: 2016年08月31日
    p.105-111 本文PDF[1228K]
  • 佐藤彰男『バングラデシュの船舶リサイクル産業と都市貧困層の形成』
    佐野 光彦
    公開日: 2016年08月31日
    p.112-117 本文PDF[1174K]
  • 松村耕光・山根聡・北田信(共編)『上級ウルドゥー語読本(lāṯẖānī urdū tārīḵẖ)』
    萬宮 健策
    公開日: 2016年08月31日
    p.118-123 本文PDF[1223K]
  • 堀本武功『インド 第三の大国へ―〈戦略的自律〉外交の追求―』
    夛賀 政幸
    公開日: 2016年08月31日
    p.124-129 本文PDF[1106K]
  • 森壮也(編)『南アジアの障害当事者と障害者政策―障害と開発の視点から―』
    長田 こずえ
    公開日: 2016年08月31日
    p.130-136 本文PDF[1200K]

学会近況

  • 日本南アジア学会 第27 回全国大会プログラム
    公開日: 2016年08月31日
    p.137-142 本文PDF[563K]
  • 共通論題 選挙を通じてみる南アジアの政治社会変動―インドを中心にして―
    近藤 則夫
    公開日: 2016年08月31日
    p.143-150 本文PDF[1239K]
  • テーマ別セッションI マハーラーシュトラ州におけるダリトの実像―その社会的・歴史的多様性―
    小川 道大
    公開日: 2016年08月31日
    p.151-156 本文PDF[1088K]
  • テーマ別セッションII 南アジアからの19世紀再考
    秋田 茂
    公開日: 2016年08月31日
    p.157-161 本文PDF[1121K]
  • テーマ別セッションIV 都市の日常からみた「発展」―グジャラート州の事例より―
    井坂 理穂, 岩谷 彩子, 國弘 暁子, 佐藤 裕
    公開日: 2016年08月31日
    p.162-169 本文PDF[1170K]

編集後記

  • 編集後記
    佐藤 隆広
    公開日: 2016年08月31日
    p.170 本文PDF[263K]
PAGETOP

第26号(2014年)

論文

  • 「祖霊」とは誰か
    ―古代インドにおける祖先祭祀の対象とその変遷―
    虫賀 幹華
    公開日: 2016年01月08日
    p.7-25 本文PDF[1646K]抄録
    古代インドの祖先祭祀として理解されるシュラーッダおよび同儀礼で祀られるピトリたちpitaraḥはそれぞれ「祖霊祭」「祖霊」と訳されてきたが、それらの概念が十分に考察されているとは言いがたい。本稿では、紀元前3世紀から後3世紀頃にかけて編纂されたスートラ文献およびその補遺文献のうち、シュラーッダに関する記述を収録している28のサンスクリット語文献を選び、祖霊という語で曖昧にされてきたシュラーッダの対象を具体的に提示した。時代が下るにつれ、「ピトリたち」すなわち〈父・父方の祖父・父方の曾祖父〉だけでなく、彼らの〈妻たち(母・父方の祖母・父方の曾祖母)〉、〈母方の祖父たちとその妻たち(母方の祖父母・母方の曾祖父母・母方の高祖父母)〉も祭祀対象として規定されたことが明らかとなった。本稿の後半では、母方親族への祭祀の発展過程を示し、それと「指定女の息子putrikāputra」の義務との関連性を仮説的に提示した。
  • 依存できる「家族」を求めて
    ―インド・クンブメーラー祭における女性行者の親密ネットワーク―
    濱谷 真理子
    公開日: 2016年01月08日
    p.26-45 本文PDF[1527K]抄録
    本論文の目的は、インドのクンブメーラー祭を舞台として、ヒンドゥー女性行者が修行者社会におけるジェンダー差別や抑圧をどのように受け止め、生きる場や生きる喜びを獲得しようとしているか、「家族」として意味づけられる親密ネットワークに着目して明らかにすることである。事例考察によって、女性行者もまた家住女性と同様に、家父長制的な師弟集団や、血縁に基づく親族、男性パートナーなど、物質的・精神的にさまざまなレベルの「家族」に依存していることがわかった。その一方、自己の威信や集団内でのポジショニングのため、生活していくために「家族」を活用する、あるいは女性が生きやすいようにそれらを再構築しようとする姿もみとめられた。そうした「家族」への依存や再構築を通じて、女性行者たちが絡めとられる社会的しがらみと、そのなかで生活上の便宜や修行上の意味を見出していこうと模索する姿を、本稿では描き出そうとした。
  • インドの制憲政治とB・R・アンベードカル
    ―指定カースト留保議席導入をめぐる政治過程を中心に―
    板倉 和裕
    公開日: 2016年01月08日
    p.46-72 本文PDF[1624K]抄録
    本稿は、社会的マイノリティに対して、留保議席のような政治的保障措置を世界に先駆けて導入したインドの経験に注目し、インド建国の指導者たちがなぜそのような措置を憲法の中に盛り込むことにしたのかを考察する。インドの制憲過程を扱った研究の多くがムスリムの処遇問題に関心を寄せてきた一方で、指定カーストの指導者たちによる、政治的権利獲得のための主体的な活動を考察に入れた政治過程の分析は十分に進められてこなかった。そこで、本稿では、指定カーストの中心的指導者であったB・R・アンベードカルに焦点を当て、制憲議会を取り巻く政治環境の変化に対するアンベードカルの適応過程と、それと同時に形成された会議派指導者との協力関係に注目し、インドの制憲政治を再検討することにより、指定カースト留保議席がインド憲法にいかにしてもたらされたのかを明らかにする。
  • 育児支援ネットワークの構築と市民社会の役割
    ―デリー・スラム地域における総合的乳幼児発達支援事業とNGO の働きを中心に―
    渡部 智之
    公開日: 2016年01月08日
    p.73-99 本文PDF[1711K]抄録
    本稿は、デリーの総合的乳幼児発達支援事業におけるNGOの機能を明らかにし、ポスト開発国家時代の育児支援ネットワークの構築における市民社会の役割を考察するものである。事業の官民連携化が進む中で、事業目的の効率的推進という機能を果たすNGOは貧困者の参加を事業目的に寄与する範囲に限定した。 また、事業と当事者ニーズとの齟齬解消という機能を果たすNGOは貧困者が声を上げることができる場を設けた。これらは、参加の程度は異なるものの貧困者の参加を進展させ、それぞれ貧困者の潜在能力、他人との議論や交渉を通じた協働的な能力であるキャパシティの向上に資する役割を果たし、育児を社会的に分担する基盤を構築した。つまり、育児支援ネットワークの構築における市民社会の役割を捉えるためには、参加の程度に着目する従来の見方ではなく、参加者の参加様態およびそれを媒介する市民組織の形態に着目することが決定的に重要であるといえる。

研究ノート

  • バングラデシュにおける地方自治と参加型ローカル・ ガバナンスの現況
    ―都市ガバナンス改善プロジェクトを事例として―
    七五三 泰輔
    公開日: 2016年01月08日
    p.100-123 本文PDF[1535K]抄録
    1990年代以降に実施された構造調整プログラムに沿った経済・産業分野における政策改革は、バングラデシュの工業化を中心とする経済発展を促している。 一方、都市部における急激な人口増加は、都市特有の問題を深刻にしている。都市における公共サービスを改善するため、主要ドナーは都市インフラ事業とともに、地方自治体のガバナンス改善を支援している。中でもアジア開発銀行の支援によって実施されている都市ガバナンス及びインフラ改善事業は、地方都市において喫緊の課題となっているインフラ整備を実施しつつ、これまで行政に係る機会の少なかった女性や貧困層を含め、都市住民の参加を推進する活動を実施し、階層型統治形態から、ネットワーク型統治形態への移行を支援するモデル事業として注目されている。本研究では、この事業における住民参加型のガバナンス構築の実態を分析し、バングラデシュにおける参加型ガバナンスの可能性について検討する上での、今後の課題を示す。
  • 20世紀初頭バンクーバーに おけるインド系移民コミュニティの形成
    水上 香織
    公開日: 2016年01月08日
    p.125-147 本文PDF[1615K]抄録
    20世紀初頭北米太平洋岸におけるインド系移民は、駒形丸事件やガダル運動といった政治的事件に集団参加したことで知られる。従来の研究ではこうした事件を生んだ北米インド系移民社会の背景を考えることは関心の主眼になってこなかった。またインド系移民の政治的事件への参加はインド系移民内の政治意識の高まりや宗教的紐帯と関連付けて論じられてきたが、背景と成り得た移民内での経済的な相互関係に関してはほとんど議論されてこなかった。 そこで1910年前後のバンクーバー市を例にインド系移民社会の背景を精査し直したところ、彼らは出稼ぎ的性格が強くカナダでの定着志向性が低い集団であったことが示された。インド系移民たちは一見移動性の高い集団であったが、カナダでの永住を前提としない場合においても経済的成功を目指す中で相互扶助的な組織を形成したりインド系移民の間に株主を求める会社を設立したりするなど、社会的紐帯を形成することがあった。

書評論文

  • 上田知亮『植民地インドのナショナリズムとイギリス帝国観─ガーンディー以前の自治構想―』
    小嶋 恒喜
    公開日: 2016年01月08日
    p.148-155 本文PDF[1402K]

書評

  • 長田俊樹『インダス文明の謎 ─古代文明神話を見直す―』
    小西 正捷
    公開日: 2016年01月08日
    p.156-163 本文PDF[1349K]
  • 松尾瑞穂『ジェンダーとリプロダクションの人類学 ─インド農村社会の不妊を生きる女性たち―』
    松岡 悦子
    公開日: 2016年01月08日
    p.164-171 本文PDF[1371K]
  • 臼田雅之『近代ベンガルにおけるナショナリ ムと聖性』
    小谷 汪之
    公開日: 2016年01月08日
    p.172-176 本文PDF[1248K]
  • 山本達也『舞台の上の難民─チベット難民芸能集団の民族誌―』
    小西 公大
    公開日: 2016年01月08日
    p.177-182 本文PDF[1207K]
  • 水島 司(編)『激動のインド 第1巻 変動のゆくえ』
    岡橋 秀典
    公開日: 2016年01月08日
    p.183-189 本文PDF[1185K]
  • 柳澤悠『現代インド経済─発展の淵源・軌跡・展望─』
    藤森 梓
    公開日: 2016年01月08日
    p.190-197 本文PDF[1421K]
  • 上垣彰・田畑伸一郎(編著)『ユーラシア地域大国の持続的経済発展』 唐亮・松里公孝(編著)『ユーラシア地域大国の統治モデル』 岩下明裕(編著)『ユーラシア国際秩序の再編』 望月哲男(編著)『ユーラシア地域大国の文化表象』
    宮本 隆史
    公開日: 2016年01月08日
    p.198-203 本文PDF[1206K]

学会近況

  • 日本南アジア学会 第26 回全国大会プログラム
    公開日: 2016年01月08日
    p.204-208 本文PDF[1398K]
  • 全体シンポジウム 大地からみる南アジア世界
    ―環境へのアプローチを考える―
    岡橋 秀典
    公開日: 2016年01月08日
    p.209-213 本文PDF[1226K]
  • テーマ別セッションⅠ インド農村の今
    ―ビハール・パンジャーブ・タミルナードゥの現地調査の事例から―
    柳澤 悠, 押川 文子, 杉本 大三
    公開日: 2016年01月08日
    p.214-220 本文PDF[1307K]
  • テーマ別セッションⅡ インド社会経済変動の空間分析
    水島 司
    公開日: 2016年01月08日
    p.221-227 本文PDF[1185K]
  • テーマ別セッションIV 変貌するバングラデシュ社会の光と影
    ―周辺から見た南アジア世界―
    外川 昌彦
    公開日: 2016年01月08日
    p.228-234 本文PDF[1249K]
  • テーマ別セッションV Population and Development in India: Towards a Regional Typology
    脇村 孝平
    公開日: 2016年01月08日
    p.235-241 本文PDF[1329K]

編集後記

  • 編集後記
    井上 貴子
    公開日: 2016年01月08日
    p.242 本文PDF[323K]
PAGETOP

第25号(2013年)

巻頭特集

ベンガル研究における文学的構想力と歴史的構想力の交差に向けて

  • 趣旨と概要
    谷口 晋吉, 丹羽 京子
    公開日: 2014年07月28日
    p.7-10 本文PDF[1128K]
  • カトマンドゥ盆地に保存されるベンガル語・ミティラー語演劇写本
    北田 信
    公開日: 2014年07月28日
    p.11-21 本文PDF[1410K]
  • カジ・ノズルル・イスラム再考
    ―ノズルル・ギーティは「文学」か―
    丹羽 京子
    公開日: 2014年07月28日
    p.22-30 本文PDF[1426K]
  • シャンティニケトンの岡倉天心
    ―1902 年の英領インドにおけるタゴールとの出会いについて―
    外川 昌彦
    公開日: 2014年07月28日
    p.31-44 本文PDF[1448K]
  • ベンガル社会の形成
    ―中世初期におけるその萌芽―
    古井 龍介
    公開日: 2014年07月28日
    p.45-53 本文PDF[1434K]
  • 商家の活動からみた18世紀末から19世紀前半のベンガル
    神田 さやこ
    公開日: 2014年07月28日
    p.54-61 本文PDF[1398K]
  • ベンガルの地域類型論の構築に向けて
    谷口 晉吉
    公開日: 2014年07月28日
    p.62-72 本文PDF[1437K]
  • 小さな窓から大きな世界を
    ―あるベンガル研究の軌跡―
    臼田 雅之
    公開日: 2014年07月28日
    p.73-82 本文PDF[1420K]

論文

  • カシミールの禁酒運動はどう伝えられたか
    ―1980年代初頭インドの新聞報道とセキュラリズム―
    拓 徹
    公開日: 2014年07月28日
    p.83-105 本文PDF[860K]抄録
    本稿では、1982年にジャンムー・カシミール州(インド)の南カシミールで起きた禁酒運動の詳細を明らかにすると同時に、この事件をめぐる新聞報道の分析を通じて、インドの政治言説におけるセキュラーな主体の再考を試みる。
    1982年3月に南カシミールの中心都市アナントナーグで分離主義団体ピープルズ・リーグが起こした禁酒運動は、カシミール地元のウルドゥー語紙では広範な町民の支持を得た市民運動と報道された。だが、この運動が攻撃対象とした数軒の酒屋の経営者がすべてマイノリティー(ヒンドゥー教徒)だったため、この運動はインド全国英字紙ではイスラム原理主義的で反ヒンドゥー的な事件と報道された。これらのカシミール地方紙、インド全国紙はいずれも自らの言説を「セキュラー」と見做したが、ともにマジョリタリアニズムを含み持っており、歴史的なセキュラー言説がしばしば持つ偏りを露呈するものだった。

研究ノート

  • 生業としての音楽家業を問う
    ―チベット難民ポップ歌手を事例に―
    山本 達也
    公開日: 2014年07月28日
    p.106-127 本文PDF[1531K]抄録
    本論文は、インドおよびネパール在住のチベット難民のポピュラー音楽であるチベタン・ポップの音楽家たちの商業活動ネットワークに着目し、生業としての音楽家の実際の様相を描き出すことを目的とする。そして、表象やアイデンティティを取り扱ってきた旧来の研究が十分に論じてこなかった音楽家の実際の生活環境や彼らが形成するネットワークの様相を描きだすと同時に、チベット難民を取りまく現状の一端を提示することを目的とする。自らを取りまくメディア環境の変化等もあって、現在、1990年代後半から形成され、また独自の発展も伴う商業活動ネットワークに依拠した活動を音楽家たちは展開しており、彼らの生活はそのネットワークに支えられている。他方、彼らの音楽に金銭を払う主催者や聴衆、商人などの人びともまた、生計を稼ぐという音楽家の意図とは離れたところで音楽活動に独自の意味づけをおこない、それこそがチベタン・ポップを取りまく商業活動ネットワークの、そしてチベット難民や彼らを取りまく人びとの固有な状況の形成に寄与している。本論文は、音楽家の商業活動ネットワークを記述・分析することで、音楽家の生業としての側面およびその商業活動ネットワークの二重性、そしてそれが明示するチベット難民や彼らを取りまく人びとの現状を明示するものである。
  • 19世紀インドにおける新聞と通信技術
    ―電信を事例に―
    ボネア アメリア
    公開日: 2014年07月28日
    p.128-151 本文PDF[1550K]抄録
    植民地期インドにおける新聞に関する研究は数多いが、新聞と通信技術のかかわりに焦点をあてた研究は僅かしかない。しかし、19世紀に実用化した蒸気船や電信は新聞の発達過程において大きな意味をもっていた。特に電信は、時間・距離・空間を越える技術として注目を浴びた。電信ネットワークの構築と拡張によって、インド亜大陸内だけでなく、イギリスとインド、ヨーロッパとアジアの間の情報交換はスピード化され、インドにおけるニュース報道にも変化がみられるようになった。本稿は、電信ルートの開設と普及を明らかにした上で、19世紀インドで刊行された英語新聞をいくつか取り上げ、インド新聞史における技術の意味と役割について検討する。

書評

  • シバ・マリヤム・ジョージ(著)、伊藤るり(監訳)『女が先に移り住むとき─在米インド人看護師のトランスナショナルな生活世界─』
    関口 真理
    公開日: 2014年07月28日
    p.152-158 本文PDF[1327K]
  • ラーマチャンドラ・グハ(著)、佐藤宏(訳)『インド現代史─1947-2007─』(上巻・下巻)
    中津 雅昭
    公開日: 2014年07月28日
    p.159-165 本文PDF[1330K]
  • 近藤則夫(編)『研究双書No.599 現代インドの国際関係─メジャー・パワーへの模索─』
    吉田 修
    公開日: 2014年07月28日
    p.166-171 本文PDF[1305K]
  • 森本 泉『ネパールにおけるツーリズム空間の創出─カトマンドゥから描く地域像─』
    藤倉 達郎
    公開日: 2014年07月28日
    p.172-175 本文PDF[1367K]
  • 井田克征『ヒンドゥータントリズムにおける儀礼と解釈─シュリーヴィディヤー派の日常供養─』
    永ノ尾 信悟
    公開日: 2014年07月28日
    p.176-181 本文PDF[1330K]
  • 辛島昇他(編)『新版 南アジアを知る事典』
    和田 一哉
    公開日: 2014年07月28日
    p.182-186 本文PDF[1414K]
  • 木曽順子『インドの経済発展と人・労働』
    辻田 祐子
    公開日: 2014年07月28日
    p.187-192 本文PDF[1378K]
  • 鈴木晋介『つながりのジャーティヤ─スリランカの民族とカースト─』
    川島 耕司
    公開日: 2014年07月28日
    p.193-197 本文PDF[1412K]

学会近況

  • 日本南アジア学会第25回全国大会プログラム
    公開日: 2014年07月28日
    p.198-202 本文PDF[607K]
  • 全体シンポジウム 「日本と南アジアの交流─人・モノ・知─」に参加して
    小谷 汪之
    公開日: 2016年02月04日
    p.203-208 本文PDF[1268K]
  • テーマ別セッションI 近現代インドにおける食文化とアイデンティティ
    井坂 理穂
    公開日: 2016年02月04日
    p.209-214 本文PDF[1260K]

編集後記

PAGETOP

第24号(2012年12月15日)

印刷版の正誤表はこちら

目次

巻頭特集

  • 特別座談会 デモクラシー再考
    田辺 明生, 中溝 和弥, 広瀬 崇子, 三輪 博樹, 名和 克郎, 志賀 美和子, 井上 貴子
    p.6-32 本文PDF[1668K]

論文

  • 現代インドにおける暴動とその予防の実証分析
    ―マハーラーシュトラ州のモハッラー・コミッティによる予防活動の事例―
    油井 美春 p.33-55 本文PDF[1975K]
  • 「土着の伝統」と「複製の近代」
    ―ハヴェーリー壁画にみる英領インド期の大衆美術とマールワーリー・アイデンティティ―
    豊山 亜希 p.56-80 本文PDF[4836K]

研究ノート

  • インド製薬産業の発展と企業の能力
    ―Ranbaxy Laboratoriesの事例を中心に―
    上池 あつ子 p.81-102 本文PDF[2137K]
  • 日系縫製企業の第二次移転先としてのバングラデシュ
    ―国際資本移転のジェンダー分析―
    長田 華子 p.103-131 本文PDF[2363K]
  • 土着医療のアーユルヴェーダ化
    ―スリランカにおける土着の医療実践の位置づけをめぐって―
    梅村 絢美 p.132-141 本文PDF[881K]

書評

  • 宮治昭『インド仏教美術史論』
    肥塚 隆 p.142-150 本文PDF[1865K]
  • 石上悦朗・佐藤隆広(編著)『 現代インド・南アジア経済論』
    小島 眞 p.151-157 本文PDF[1694K]
  • 石坂晋哉『現代インドの環境思想と環境運動─ガーンディー主義と〈つながりの政治〉─』
    石井 一也 p.158-164 本文PDF[1803K]
  • 佐々木宏『インドにおける教育の不平等』
    南出 和余 p.165-170 本文PDF[1691K]
  • 鈴木正崇(編)『南アジアの文化と社会を読み解く』
    田辺 明生 p.171-178 本文PDF[1701K]
  • 常田夕美子『ポストコロニアルを生きる─現代インド女性の行為主体性─』
    菅野 美佐子 p.179-184 本文PDF[1683K]
  • 中溝和弥『インド 暴力と民主主義─一党優位支配の崩壊とアイデンティティの政治─』
    三輪 博樹 p.185-190 本文PDF[1692K]

学会近況

  • 日本南アジア学会第24回全国大会プログラム
    p.191-195 本文PDF[989K]
  • 共通論題 イスラーム的世界としての南アジア
    ―接触領域のダイナミズム―
    山根 聡 p.196-202 本文PDF[1724K]
  • セッション企画1 Migration History around the Indian Ocean World since the Seventeenth Century
    秋田 茂 p.203-208 本文PDF[1720K]
  • セッション企画2 現代南アジアと英語文学・再考
    難波 美和子, 関口 真理, 大工原 彩, 坂田 貞二 p.209-215 本文PDF[1823K]
  • セッション企画3 Reorganization of States in India
    井坂 理穂 p.216-220 本文PDF[1675K]
  • セッション企画4 19世紀後半から20世紀初頭の地域社会におけるマールワーリー・プレゼンス
    中谷 純江 p.221-227 本文PDF[1682K]
  • 編集後記
    井上 貴子 p.228 本文PDF[811K]

第24号正誤表

  • 141頁、註の後に以下を挿入参照文献
    Abeysekere, D. H., 2006, Traditional Medicine in Sri Lanka and in Neighboring Countries, Colombo: The Author.
    Ayurvedic Medical Council Sri Lanka, 2010, Registered Ayurvedic Medical Physicians at the End of the Year-2009/12/31, Colombo: Ayurvedic Medical Council.
    Basnayake, V., 1988, Traditional Medicine and the Medical School Curriculum in Sri Lanka, Peradeniya: University of Peradeniya Press.
    Gupta, B., 1976, “Indigenous Medicine in Nineteenth and Twentieth Century Bengal”, in Charles Leslie (ed.), Asian Medical Systems, Barkeley: University of California Press, pp. 368-378.
    Gupta, L. P., 2006, Essentials of Ayurveda, Delhi: Chaukhamba Sanskrit Pratishthan.
    Hagaya, Pratama, 1984, Sri Lanka Desheeya Chikithsa Sangrahaya, Colombo: Ayurveda Department Prakashakayo.
    Higuchi, Machiko, 2002, Traditional Health Practices in Sri Lanka, Amsterdam: V-U University Press.
    Jayathilaka, I. G. A., 2007, Ayurveda Chikithsa Mula Tarama, Colombo: Ayurveda Department Prakashakayo.
    Kamalika, Pieris, 2001, Medical Profession in Sri Lanka, 1843-1980, Colombo: Visidunu Prakashakayo.
    Kusumaratne, Sagara, 1995, Folk Medicine among the Sinhalese, Colombo: The Author.
    ――――, 2005, Indigenous Medicine in Sri Lanka: A Sociological Analysis, Nugegoda: Sarasavi Publishers.
    Liyanaratne, Jinadasa, 2006, Buddhism and Traditional Medicine in Sri Lanka, Colombo: Kelaniya University Press.
    Obeyesekere, Gananath, 1980, Rationality, Theory and Experimentation in Ayurvedic Medicine, Tokyo: The United Nation University Press.
    Uragoda, C. G., 1987, A History of Medicine in Sri Lanka: From the Earliest Times to 1948, Colombo: Sri Lanka Medical Association.
    Wanninayaka, P. B., 1982, Ayurveda in Sri Lanka, Colombo: Ministry of Health Sri Lanka.
    Wickramasinghe, Martin, 1997, Sinhala Language and Culture: Buddhism and Art, Dehiwala: Tisara Prakasakayo.
    Yalman, Nur, 1967, Under the Bo Tree: Studies in Caste, Kinship and Marriage in the Interior of Ceylon, California: University of California Press.
    Yogasundram, Nath, 2008, A Comprehensive History of Sri Lanka from Prehistory to Tsunami, 2nd revised ed., Colombo: Vijitha Yapa Publications.
    梅村絢美、2011、「発話がまねく禍、沈黙がもたらす効力―スリランカ土着の伝統医療パーランパリカー・ヴェダカマの知の継承と医療実践―」、『社会人類学年報』、37、165-182頁。
    加瀬澤雅人、2006、「現代インドの民族医療―グローバル状況下におけるアーユルヴェーダの変容―」、京都大学提出博士学位論文。
    執行一利、1987、「シンハラ農村の社会組織―いくつかの社会集団について―」、『史苑』、47‐1、114-72頁。
    鈴木正崇、1996、『スリランカの宗教と社会―文化人類学的考察―』、春秋社。
PAGETOP

第23号(2011年12月15日)

目次

論文

  • M・K・ガーンディー政治的ahimsaの起源
    ―”Hindu Swarajya”(1909)からahimsavrat (1915)まで―
    . . 間 永次郞 (7) 本文PDF[769K]
  • 大乗仏教のヴァルナ観に関する一考察
    . . .高橋 晃一 (31) 本文PDF[724K]
  • 「伝統」の「担い手」とは誰か
    ―ナーラーヤナ・ティールタ・アーラーダナーの事例から―
    . . 小尾 淳 (51) 本文PDF[1063K]
  • 食肉市場の形成とカースト間関係の変容
    ―カトマンズ盆地における「カドギ」の商実践を中心に―
    . . .中川 加奈子(74) 本文PDF[832K]
  • 現代スリランカの慈善型老人ホームとダーナ
    . . .中村 沙絵 (100) 本文PDF[894K]

書評論文

  • 小谷 汪之『インド社会・文化史論-「伝統」社会から植民地近代へ-』
    . . .小川 道大(121)

書評

  • 近藤 則夫(編)『インド民主主義体制のゆくえ ―挑戦と変容 ―』
    . . .広瀬 崇子(128)
  • 工藤 正子『越境の人類学-在日パキスタン人ムスリム移民の妻たち-』
    . . .小牧幸代 (136)
  • 森 雅秀『インド密教の儀礼世界』
    . . .杉本 恒彦(143)
  • 佐藤彰男、I・U・チョドリ、坂本真司、鳩貝耕一『ヴィレッジフォン-グラミン銀行によるマイクロファイナンス事業と途上国開発-』
    . . .大橋 正明(149)

学会近況

  • 日本南アジア学会 第23回全国大会プログラム(155)
  • 共通論題 南アジア-グローバリゼーションと格差-
    . . .絵所 秀紀(159)
  • 企画セッション1 インド経済のグローバリゼーションと産業発展
    . . .石上 悦朗、佐藤 隆広(165)
  • 企画セッション2 包括的成長へのアプローチ-インドの挑戦-
    . . .小田 尚也(173)
  • 特別セッション 内戦後のスリランカ社会
    ―民族抗争の教訓と将来への挑戦―
    . . .中村 尚司(179)
  • 編集後記(186)
PAGETOP

第22号(2010年12月)

目次

論文

  • インドにおける景気変動と財政運営
    ―構造的財政収支の推計と分析―
    . . .福味 敦 (6) [PDF (1869K)]

書評

  • 佐藤隆広(編)『インド経済のマクロ分析』、小田尚也(編)『インド経済:成長の条件』
    . . .絵所 秀紀 (36) [PDF (1543K)]
  • 清川雪彦『近代製糸技術とアジア─技術導入の比較経済史─』
    . . .藤森 梓(44) [PDF (1510K)]
  • 田辺明生『カーストと平等性─インド社会の歴史人類学─』
    . . .杉本 浄(52) [PDF (1398K)]

学会近況

  • 日本南アジア学会第22回全国大会プログラム(58)
    [PDF (1679K)]

特集 日本南アジア学会第22回全国大会テーマ別発表

テーマ別発表1 変動する社会と「教育の時代」
  • 趣旨と全体的報告
    . . . 押川 文子(66) [PDF (927K)]
  • インドの教育における「影の制度」
    ―デリーの無認可学校の機能要件と法的位置づけの検討―
    . . . 小原 優貴(75) [PDF (1002K)]
  • 「教育の時代」とマドラサ
    . . .日下部 達哉(82) [PDF (1015K)]
  • 選択としての学校教育
    ―バングラデシュ農村社会における中等教育就学を中心に―
    . . .南出 和余(90) [PDF (1028K)]
  • 路上生活経験のある子どもの「教育の機会」とNGO
    ―ニューデリー、NGO‘SBT’の事例から―
    . . 針塚 瑞樹(100) [PDF (1596K)]
テーマ別発表2 インド近現代史のなかの社会運動―その共通性をめぐって―
  • 趣旨と全体的報告
    . . .石坂 晋哉(107) [PDF (1444K)]
テーマ別発表3 「南アジア」の「労働移動」で採択された「ニーズ対応型地域研究」を考える
  • 趣旨と全体的報告
    . . 山本 真弓(112) [PDF (1429K)]
テーマ別発表4 消費パターンの長期変動と社会構造・社会意識
─南インド村落調査と雑誌・新聞広告の分析を中心に─
テーマ別発表5 歴史における文学的教養とその場
  • 問題の位置づけと展望
    . .臼田 雅之(121) [PDF (1453K)]
  • 近代地方語文学の出現
    ─チャルャーパダとギータゴーヴィンダ─
    . . 北田 信(125) [PDF (1574K)]
  • バクティ(帰依信仰)文学が形成される場、それを囲む思想的・文学的な伝統
    ─『ラーマーヤナ』の16世紀後半ヒンディー語版『ラーム・チャリト・マーナス(ラーマの行いの湖)』の事例を中心に─
    . . 坂田 貞二(131) [PDF (966K)]
  • ウルドゥー詩の近代
    . .松村 耕光(136) [PDF (1535K)]

特別企画 日本南アジア学会設立20周年記念 連続シンポジウム
インド亜大陸の5000年

  • シンポジウムの趣旨と概要
    . . .石井 溥(142)[PDF (1297K)]
第1回シンポジウム 南アジアという方法と視角―比較と連鎖―
  • 1 趣旨と概要
    . . .石井 溥(145) [PDF (1428K)]
  • 2 「南アジア」と「インド世界」─周縁からの視点─
    . . 小西 正捷(148) [PDF (1591K)]
  • 3 他者としての仏教―「可能性としての南アジア」試論―
    . . 下田 正弘(158) [PDF (1535K)]
  • 4 南アジア型経済発展径路の特質
    . . 杉原 薫(170) [PDF (1698K)]
  • 5 歴史研究/叙述に賭けられるもの─実証と表象の隘路を超えて─
    . .粟屋 利江(185) [PDF (1582K)]
第2回シンポジウム 「インド的文明」とは何かI
  • 1 趣旨と概要
    . . 小谷 汪之(197) [PDF (1347K)]
  • 2 対論 南アジアにおける歴史展開のダイナミズムを問う 南インドにおける古代から中世への移行
    ─タミル語刻文の検討から─
    . . 辛島 昇(198) [PDF (1580K)]
  • 3 対論 南アジアにおける歴史展開のダイナミズムを問う インド中世・近世の社会変動ダイナミズム
    . . 小谷 汪之(211) [PDF (1605K)]
  • 4 ダルマ文献における司法規定の歴史的変遷
    . . 沼田 一郎(220) [PDF (1683K)]
  • 5 儀礼を通して「インド的文明」を通覧する
    . .永ノ尾 信悟(228) [PDF (1431K)]
第3回シンポジウム 「インド的文明」とは何かII
  • 1 趣旨と概要
    . .水野 善文(230) [PDF (1436K)]
  • 2 インド人仏教徒は何故、仏陀釈尊像を創らなかったのか?
    ─布施と生天思想と仏陀無き仏伝図─
    . . 田辺 勝美(234) [PDF (1576K)]
  • 3 科学史からみたインド文化
    . . 矢野 道雄(245) [PDF (1761K)]
  • 4 ベンガル湾を渡った古典インド文明
    ─東南アジアからの視点─
    . . 青山 亨(261) [PDF (1628K)]
  • 5 「内なるインド」とイスラーム
    . 榊 和良(277) [PDF (1548K)]
第4回シンポジウム 南アジアにおける近代とは何か
  • 1 趣旨と概要
    . . 谷口 晋吉, 粟屋 利江(285) [PDF (1498K)]
  • 2 植民地国家における経済構造の形成と展開
    . . 水島 司(289) [PDF (1564K)]
  • 3 「開放体系」としてのインド亜大陸
    ─インド系商人・企業家の系譜─
    . .脇村 孝平(301) [PDF (1578K)]
  • 4 歴史記述からみた「植民地的近代」
    . . 井坂 理穂(313) [PDF (1594K)]
  • 5 ムスリムにおけるアイデンティティの複合性とその物象化
    ─マッチ・ラベルからの検証─
    . .大石 高志(327) [PDF (1924K)]
  • 6 文学に見る近代の自画像と歴史認識
    . 臼田 雅之(343) [PDF (1554K)]
第5回シンポジウム 機会・移動・リンクする人々
―南アジア社会の「現在」を考える―
  • 1 趣旨と概要
    . . 押川 文子(358) [PDF (1383K)]
  • 2 村民にとっての機会の変化と「農村」の変容
    . . 柳澤 悠(360) [PDF (1641K)]
  • 3 村人と開発行政
    ─退出と参加─
    . .近藤 則夫(371) [PDF (1626K)]
  • 4 労働移動とネットワーク、都市貧困
    ─デリーのリキシャ引きの事例から─
    . .黒崎 卓(383) [PDF (1619K)]
  • 5 「教育の時代」の学校改革
    ─能力主義と序列化─
    . .押川 文子(394) [PDF (1560K)]
PAGETOP

第21号(2009年12月)

目次

論文

  • 新経済政策下における農協「地域営農センター」の効果
    ―インド・マハラシュトラ州の製糖協同組合の実態調査から―
    . . .草野 拓司 (7) [PDF (1454K)]
  • バングラデシュにおける環境保全政策の実践と村落政治の動態
    ―ハカルキ・ハオールにおける環境資源の文化の政治を事例として―
    . . .七五三 泰輔 (30) [PDF (1815K)]
  • 新しいコミュニティ祭礼の出現
    ―ラージャスターン農村におけるラームデーヴ信仰と巡礼―
    . . .中谷 純江 (60) [PDF (1566K)]
  • ヴィヴェーカーナンダのヒンドゥー教
    ―1893年万国宗教会議での演説をめぐって―
    . . .平野 久仁子 (87) [PDF (1472K)]
  • ポルトガル領ダマンのカザード
    ─プラゾ制度とポルトガル人植民社会の形成─
    . . .齋藤 俊輔(117) [PDF (1834K)]
  • パーリ文Mahaparinibbanasuttantaにおける世尊の死因
    . . .吉次 通泰(133) [PDF (1462K)]

研究ノート

  • 争点化するセクシュアリティ
    ─英領期インドにおけるR・D・カルヴェーの産児制限運動を中心に─
    . . .松尾 瑞穂(152) [PDF (1492K)]

書評

  • 三尾稔・金谷美和・中谷純江(編)『インド刺繍布のきらめき─バシン・コレクションに見る手仕事の世界─』
    . . .小西 正捷(174) [PDF (1232K)]
  • 田中多佳子『ヒンドゥー教徒の集団歌謡─神と人との連鎖構造─』
    . . .井上 貴子(180) [PDF (1221K)]
  • 綾部恒雄(監修)、金基淑(編)『講座 世界の先住民族ファースト・ピープルズの現在 03 南アジア』
    . . .三瀬 利之(185) [PDF (1161K)]
  • 水島司『前近代南インドの社会構造と社会空間』
    . . .三田 昌彦(191) [PDF (1163K)]
  • 杉本浄『オリヤ・ナショナリズムの形成と変容─英領インド・オリッサ州の創設にいたるアイデンティティと境界のポリティクス─』
    . . .井坂 理穂(198) [PDF (1162K)]
  • 橋本和也『ディアスポラと先住民─民主主義・多文化主義とナショナリズム─』
    . . .脇村 孝平(204) [PDF (1208K)]
  • 広瀬崇子・南埜猛・井上恭子(編著)『インド民主主義の変容』
    . . .竹中 千春(210) [PDF (1160K)]
  • 三宅博之『開発途上国の都市環境─バングラデシュ・ダカ 持続可能な社会の希求─』
    . . .篠田 隆(216) [PDF (1157K)]
  • 海田能宏(編著)『バングラデシュ農村開発実践研究─新しい協力関係を求めて─』
    . . .谷口 晉吉(222) [PDF (1207K)]

リジョインダー

  • 三輪博樹論文を読む
    . . .中村 平治(228) [PDF (1334K)]

学会近況

  • 日本南アジア学会第21回全国大会シンポジウム報告 南アジアにおける《共生》の諸相と展望
    . . .宮本 久義(232) [PDF (1335K)]
  • テーマ別セッションI ネパール制憲議会選挙とその後(236)
    [PDF (1261K)]
  • テーマ別セッションII 南アジアの手工芸と開発
    ─「布」からみる地域社会の変動─
    . . . 金谷 美和(237) [PDF (1179K)]
  • テーマ別セッションIII 南アジア系エスニック・コミュニティの政治参加
    . . . 井上 恭子(242) [PDF (1127K)]
  • 日本南アジア学会20周年記念 連続シンポジウムについて(246)
    [PDF (1081K)]
  • 編集後記(248)
    谷口 晉吉 [PDF (466K)]
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『南アジア研究』投稿規定

  1. 『南アジア研究』は、南アジア諸地域に関する人文・社会科学および関連領域の論文、研究ノート、研究動向、資料紹介、書評・書評論文、新刊紹介などを掲載する。
  2. 『南アジア研究』には、日本南アジア学会会員、および編集委員会の依頼を受けた者が投稿できる。
  3. 本誌への投稿論文等は未発表のものに限る。また、他誌に投稿中の論文等の本誌への投稿は認めない。
  4. 投稿は、日本南アジア学会編集委員会が常時受け付ける。
  5. 本誌の記事は、原則として査読の対象となる。原稿は、査読を経た後、編集委員会の責任において採否を決定する。
  6. 編集委員会は投稿原稿を受け付けた後、原則として3か月程度を目途に査読結果を通知する。
  7. 原稿作成にあたっては、「『南アジア研究』執筆要領」に従うこととする。
  8. 図版や手書き原稿などで、作成に経費がかかる場合には、作成実費を申し受けることがある。
  9. 著者校正は原則として1回とする。
  10. 投稿料は支払われない。但し、執筆者には本誌2 部が無料で提供される。
  11. 本誌に掲載された原稿の著作権は、日本南アジア学会に属するものとする。他所で当該論文等を転載、翻訳などする場合は、日本南アジア学会の許諾が必要である。『南アジア研究』に掲載された論文等は、日本南アジア学会ないしは学会から許可された団体が全文データベース化し、電子ジャーナルとして公開するので、あらかじめ了承されたい。

(2016年1月15日常務理事会により改訂承認)

原稿送付および連絡先:
日本南アジア学会和文雑誌編集委員会
E-mail: jasas.wabun@gmail.com

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『南アジア研究』執筆要領

  1. 使用言語は日本語とする。
  2. 投稿原稿には、「論文」、「研究ノート」、「研究動向」、「書評論文」、「特集序論」、「リジョインダー」、「書評」の区分がある。この投稿区分についての詳細な説明は、本要領の付録に示す通りとする。
  3. 「論文」、「研究ノート」については、別に定める査読規定に基づいて査読を行い、編集委員会で審議の上、掲載を決定する。「研究動向」、「書評論文」については、編集委員会で査読を行い、審議により掲載を決定する。「リジョインダー」、「書評」については、査読は行わず、編集委員会での審議により掲載を決定する。
  4. 学会内での学術的議論の活性化のため、特集の枠を設ける。特集を構成する諸原稿は、「特集序論」につづき、「論文」もしくは「研究ノート」に匹敵する原稿とする。特集の原稿については、編集委員会が個々の原稿について査読を行い、特集全体の掲載可否を審議の上、判断する。
  5. 原稿の表紙に、「論文」、「研究ノート」、「研究動向」、「特集序論」、「書評論文」、「リジョインダー」、「書評」などの区別を明記する。ただし、区分に関する最終判断は編集委員会が行なう。
  6. 原稿は、ソフト名を明記し、原則としてデジタルファイルをメールに添付して編集委員会宛に送付する。
  7. 原稿は、A4サイズとし、横書きで、本文・註ともに、1頁40文字×30行(原稿用紙3枚に相当)とする。
  8. 「論文」、「研究ノート」には、日本語要旨(400字以内)、英語要旨(250ワード程度)及び英語タイトルを添付する。なお、英語については、必ずネイティヴによる校閲を受けたものを投稿すること。
  9. 「論文」、「研究ノート」の場合は、執筆者紹介と題した別紙に、表題、執筆者氏名(ふりがな付き)、所属を日本語と英語の両言語で記す。加えて、専攻分野、代表的著書または論文2点、キーワード5つ程度を記す。「論文」、「研究ノート」以外の場合は、文末に、執筆者氏名(ふりがな付き)、所属を記す。なお、すべての執筆者は連絡先(住所、電話、メールアドレス)を必ず記すこと。
  10. 図表、写真、地図などは本文中に埋め込まず、別ファイルを作成して提出する。それぞれに通し番号を付け、必要な場合には表題を付ける。それぞれの挿入場所を、本文の右側欄外に指定する。
  11. 統計的なグラフの場合、元データが必要となる場合があるので、エクセルで作成し、ワードを使用しないこと。イメージ通りの図表が作成できなかった場合には、該当箇所を明示の上、その旨明記すること。
  12. 写真は画像処理をせず、撮影時のデータをそのまま送付すること。
  13. 地図は版下として使用可能な鮮明なデータを用意し、そのコピー上に地名等の必要項目を記すこと。地名等はテキスト・データを別に用意し、地図の作成意図を明記すること。
  14. 論文等の副題は ― ―(ダッシュ)でくくる。
  15. 本文の冒頭から、節はアラビア数字の通し番号(1、2・・・)、その下の項は 1-1  1-2・・・のように表記する。
  16. 原語表記のために、ダイアクリティカル・マーク(補助記号)を使うことができる。文字化け防止のために、原則としてWindows 等に標準搭載されているUnicodeの文字集合内の補助記号付ローマ字(ラテン拡張Aとラテン拡張追加)を使用し、それ以外の場合にはその旨明記する。
  17. 改行後の行頭には全角スペースを入れて、一文字分下げる。最初の行の字下げのために、ワープロソフトのインデント機能を用いないこと。
  18. 引用文献・参照文献は、原則として本文中の該当個所に角括弧を付して入れる。角括弧内は、下記の(例)に従って簡略に記し、詳細は末尾の参照文献表に示す。(例)[Dumont 1966: 156]
  19. 註は後註とし、通し番号をつける。本文中の註は字肩に上付きで、1、2・・・のように記す。ワードの脚注機能を使用することができる。
  20. 引用文献、参照文献の詳細は、稿末に置く参照文献表に、著者の姓名に従って、アルファベット順に並べる。表記方法は、下記の(例)による。日本語文献に関しては、刊行地を略しても良い。とくに欧文文献の表記では、データの記載順、,(カンマ)、:(コロン)、.(ピリオド)等の使用法、以上の記号の後の半角スペース等の基本的な事項に十分に注意して、文献表を作成する。(例)
    単行本
    深沢宏、1972、『インド社会経済史研究』、東洋経済新報社。
    Wiser, William H., 1936, The Hindu Jajmani System: A Socio-economic System Interrelating Members of a Hindu Village Community in Services, Lucknow: Lucknow Publishing House.雑誌掲載論文
    松井透、1967、「19世紀インド経済史研究の方法論的検討─M・D・モリスの所説をめぐって─」、『アジア研究』、13-4、27-36頁。
    Jha, D. N., 1989,“Early Indian Feudal Formation,” Journal of the Japanese Association for South Asian Studies, 1, pp. 1-21.論文集掲載論文
    玉城康四郎、1963、「近代哲学とアートマン思想」、中村元(編)『自我と無我』、平楽寺書店、617-719頁。
    Chaudhuri, B. B., 1984,“Rural Power Structure and Agricultural Productivity in Eastern India, 1757-1947, ”in Meghnad Desai, Susanne Hoeber Rudolph and Ashok Rudra (eds.), Agrarian Power and Agricultural Productivity in South Asia, Delhi: Oxford University Press, pp. 100-170.
  21. 書評、書評論文などの場合には、著者名(フルネーム)、書名(副題、シリーズ名、巻数なども含めて)、刊行地、出版社、ページ数、定価、ISBN番号などを記す。(例)
    絵所秀紀・山崎幸治(編著)『アマルティア・センの世界─経済学と開発研究の架橋─』、京都:晃洋書房、2004年、vi+247頁、2,500円、ISBN4-7710-1489-2。
    The Economic History of India, 1857-1947, by Tirthankar Roy. New Delhi: Oxford University Press, 2000. xviii+318 pp. Rs. 395 (hardcover). ISBN019 565154 5.
  22. 欧文の表記には半角のみを使用し、全角表記(日本語)を併用しない。特に空白の使用に留意する。電子ジャーナルでは半角と全角を混合すると欧文文献の検索が不可能となるので注意すること。
  23. 同じ著者の複数の文献を挙げる場合、2冊目以降の著者名を――とせず、再度著者名を記す。電子ジャーナルで――を使用すると2冊目以降が検索できなくなるので注意すること。
  24. 他の言語で既に発表したものと内容が重なる場合は、註でその旨明記する。
  25. 以上の執筆要領が守られていない場合には、投稿原稿を受理しないことがある。

(2021年7月28日常務理事会により改訂承認)

 

付録:執筆区分
特徴と分量

内容

査読
論文 独創性、新規性
400字詰原稿用紙75枚以内
南アジア地域研究における、何らかの独創的知見を表現する論文。独自の新規性のある知見(データ、方法、理論のいずれか)が、分厚い裏付けによって堅固なものとなっていること。論文の中心的主張が批判に耐えうる強さをもっていること。

研究ノート 進取性、萌芽性
400字詰原稿用紙75枚以内
南アジア地域研究において進取性の感じられる知見(データ、方法、理論のいずれか)を十分な説得力をもって表現する論文。裏付けや議論にやや弱い側面があることは認められる。新進研究者があまり形式にとらわれずに新鮮なアイデアを表現する場であるとともに、経験を積んだ研究者が新たな発想を表現する場。
研究動向 総括性
400字詰原稿用紙18枚以内
南アジア地域研究に関して、近年大きな発展のあった領域に関するレビューを行う場であるとともに、既存の領域に対して著者が独自に切り開いた研究視角を全体として提示する場でもある。
特集序論 特集序論としての適切性
400字詰原稿用紙10枚程度
当該特集の趣旨や構成に基づき、序論として適切な内容と分量が求められる。特集を組む意義や個別論文の位置付けが明確であること。
書評論文 主題性
400字詰原稿用紙18枚以内
ある主題をもとに、近年刊行されたものを中心とする複数の文献への論評を含めつつ、首尾一貫した議論を提示するものや、当該分野に通じた著者が近刊書について、独自の視点から一つの展望を与える論考などが想定される。
リジョインダー

(討論)

対話性
400字詰原稿用紙18枚以内
「南アジア研究」掲載論考に限らず、学会員の研究内容をめぐっての誌上での意見表明やそれに対する応答など。
書評 個別的批評
400字詰原稿用紙14枚以内
注目すべき新刊書の内容についての簡潔な紹介やコメントから、オリジナルな評価や見解を含むものまでを対象とする。著者独自の議論や参考文献等は必ずしも必要ない。

 

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『南アジア研究』査読規程

(目的)
第1条
日本南アジア学会は、学会誌『南アジア研究』に掲載される「論文」、「研究ノート」、「研究動向」、「特集序論」、「書評論文」等(以下 論文等という)が、本誌の目的に即し、南アジア研究の多面的な発展に資することを目的とし、査読の制度をおく。本制度の運営については、編集委員会が責任を負うものとする。

(査読の定義)
第2条
1. 本誌における査読行為とは、南アジア研究、ないしその関連領域において、何らかの学術的価値を有すると判断できる投稿を評価し、投稿者と対等な姿勢で建設的助言を行うことを指す。
2. 査読とは、前項で定義された査読行為を中心とする、編集委員会・査読者・投稿者による協働作業を指す。

(査読者の選定)
第3条
1. 編集委員会は、投稿された論文等1編につき原則として2名の査読者を選定し、査読を依頼する。
2. 査読者の選定については、利益相反に配慮し、1) 親族関係、2) 師弟関係、3) 現在、同一の講座や研究室や専攻に所属する同僚、4) 現時点での緊密な研究協力関係にある者を含まないこととする。

(査読者の匿名性)
第4条
査読者名は、匿名とする。

(査読過程)
第5条
1. 原稿を査読の対象とすることの可否は、編集委員会が判断する。
2. 査読者は、査読対象論文等について、第6条の掲載基準に即して、編集委員会に対して査読意見を述べ、 必要に応じて、投稿者に原稿改善のための建設的助言を行う。
3. 編集委員会は、査読意見を慎重に検討した上で掲載の可否を判断し、査読結果を作成し、投稿者に通知する。

(掲載基準)
第6条 本誌の掲載基準を以下の通り定める。
1. 『南アジア研究』編集委員会は、本誌の目的に則り、本誌を学会内外の対話の場として捉え、南アジア研究、ないしその関連領域の多面的な発展に資すると思われる内容の投稿を掲載する。
2.掲載の可否は、独創性、新規性、理論的アイディア、資料的意義等から判断されるが、それらの完璧 な達成度を求めるのではなく、投稿に含まれる発見、資料、考察、分析等の学術的価値が学会員に共有される意義を主に考慮して判断する。
3.掲載原稿に対する批判は、掲載後になされるべきものであり、批判を招く可能性があっても学会誌という場で共有する価値があると思われる投稿であれば掲載する。
4.掲載原稿は、原稿の分量、参照文献表記の方法等について投稿規定ならびに執筆要領を遵守し、字句や表現等が適切なものでなければならない。

(原稿掲載の決定)
第7条
1. 編集委員会は、査読者による査読意見を参考にしながら、第6条に示された掲載基準に則して、原稿掲載を決定する。
2. 原稿掲載の決定は、編集委員の過半数の賛成によって行う。

(規程の改正)
第8条 本規程の改正は、日本南アジア学会理事会において、出席者の過半数の賛成をもって承認されたときに成立し、可否同数のときは議長の決するところによる。

附 則    この規程は 2021年10月1日より施行する。

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『南アジア研究』転載許可の手続き

「南アジア研究」所収の論文等を、著者自身が編者もしくは著者である著作物へ転載を希望する場合など、下記の許可申請書に記載の上、編集委員会 (jasas.wabun [ at ] gmail.com) までお申し込みください([ at ] には “@” を代入して下さい)。さらに許可書の原本が必要な方は、返信用封筒を同封の上、郵送してください。
なお、本誌に掲載された論文(日本語)を英語に翻訳する際は、転載先が翻訳による2次出版物であることを認める場合のみとなります。申請者の責任で、先に転載先の許可を得るようにお願いします。

■ 転載許可 (Permission for Reproduction) 申請書

1)日本語論文の転載許可書 ⇒ 1) 掲載許可申請_jp
「南アジア研究」掲載の日本語論文を、例えば著書(日本語)に転載する場合など。

2)Permission for Reproduction ⇒ 2) permission_en
旧南アジア研究やInternational South Asian Studies掲載の英語論文を、著書(外国語)に掲載する場合。

3)Permission for Translated Publication in English ⇒ 3) translated permission_en
「南アジア研究」掲載の日本語論文を外国語に翻訳し、別の国際雑誌等に投稿する場合。

4)日本語翻訳、転載許可 ⇒ 4) 翻訳転載許可申請_jp
International South Asian Studies および旧「南アジア研究」に掲載の英語論文を日本語翻訳の上、著作等(日本語)に転載許可をもとめるもの。

 

21~30号